ネクストアクションでインサイドセールスを回す|NAの書き方と必要なリードの数

まずリードで持ち、案件化しそうなものだけパイプラインへ。その毎日を動かすのがNAです。

資料請求のあと動かなくなったリード、一度商談して見送りになったお客様。SFAにはそうしたリードが毎月たまっていきます。どれも、検討の時期が来れば案件になる相手です。それを内勤の営業、インサイドセールス(以下IS)で案件に変えていくとき、毎日の動きを決めているのがネクストアクション(NA)です。

この記事では、当社が自社開発しているSFA「RINGO SFA」の運用の形をもとに、NAの書き方、リードとパイプラインの分け方、失注したリードの扱い、そしてISが回り続けるのに必要なリードの数をまとめます。

NAは「次にやる行動」と「それをやる日」の1組です。ISはリード一覧でNAを回し、1〜3か月以内に案件化しそうなものだけをパイプラインへ上げる。この運用を続けるには、リサイクルリードが1,000件前後と、月30件ほどの有効リードがあると回しやすくなります。

01NAは「行動」と「日付」の1組

NAはNext Actionの略で、そのリードや案件に対して次に何をするかを指します。ISの運用では、これを「NA本文」と「NA日」の2つで持ちます。本文には次にやる行動を、日付にはそれをやる日を書きます。

2つがそろって、初めて誰かの「今日やること」になります。SFAの一覧はNA日で並び替えて使うので、日付のないNAはその一覧に出てきません。本文がどれだけ丁寧でも、日付が空いていれば、そのリードは誰にも思い出されないまま残ります。逆に、日付だけ入っていて本文が「フォロー」なら、当日に一覧には出てきても、電話をかけて何を話せばよいかが分かりません。

RINGO SFAでは、リードにも案件にも、このNA本文とNA日の項目があります。リードと案件が紐づいている場合は、どちらかでNAを更新すると、もう片方にも同じ内容が入ります。ISがリード側で書いたNAと、フィールドセールスが案件側で見ているNAが食い違わないようにするためです。

02動かないNAと、書き直した例

現場でよく見かけるのは、次のようなNAです。どれも書いた本人には意味が分かっていても、翌週の自分や別の担当者が読むと、何をすればよいかが分かりません。

よくない書き方なぜ動かないか書き直した例
フォロー誰に何をするのかが分からない担当者へ架電。送った資料を見たかと、導入を考えている時期を聞く
また連絡日付と手段がない11月第1週にメール。来期予算が決まる時期を確認する
検討中相手の状態であって、こちらの行動ではない決裁者に同席してもらう打ち合わせを打診する
(NA日が空欄)NA日順の一覧に並ばず、忘れられる先方の都合が読めなくても、仮で2週間後の日付を入れる

書き直した例はどれも、誰に、どの手段で、何を確かめるかが入っています。ここまで書いておけば、担当者が休んだ日に別の人が代わりに電話をかけても、同じ話ができます。

03NAを書くときの4つの決まり

NAの質は、個人の丁寧さに任せるとばらつきます。チームで次の4つを決めておくと、誰が書いても使えるNAになります。

  • 空欄で閉じない。架電やメールの結果を記録したら、画面を閉じる前に次のNAを入れる。結果の記録とNAの入力を1つの作業として扱い、全リード・全案件でNAの空欄をゼロにする。
  • 行動を書く。「検討中」「様子見」は相手の状態なので、NAには自分がやることを書く。
  • 日付は必ず入れる。先方の都合が読めないときも仮の日付を置く。日付があれば、その日にもう一度判断し直せる。
  • 連絡する理由を持つ。前回聞けなかったこと、送った資料、予算の時期など、次に連絡する理由をNAに書いておく。

4つ目がいちばん守られにくい決まりです。「その後いかがですか」だけの電話は、相手にとって答えようがありません。「前回、来期の予算が決まるのは11月と伺ったので、その前に比較の材料をお送りしたい」と言えれば、相手も話を続ける理由ができます。その一文を、前回の電話を切った直後にNAとして書いておくわけです。

04リードとパイプラインを分けて持つ

THEモデルは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに役割を分けて、営業のプロセスをつなぐ考え方です。SFAの上でいえば、ISが毎日見るのはリード一覧、フィールドセールスが見るのはパイプライン(案件)です。受注したら顧客として、カスタマーサクセスに渡ります。

ここで大事なのは、部署を分けるかどうかより先に「どこまでがリードで、どこからが案件か」の境目を決めておくことです。すべてをパイプラインに入れると、温度の低い案件が何百件も並び、どれが動いているのか分からなくなります。パイプラインから読む受注の見込みも当たらなくなります。

リードパイプライン(案件)
目的関係をつくり、商談になる時期を待つ商談を前に進め、受注か失注かを決める
件数多い(数百〜千件単位)少ない(担当者1人あたり数十件まで)
NAの間隔数週間〜2ヶ月数日〜2週間
毎日見るものNA日が今日のリードと、期限切れのリードフェーズ、確度、最終更新日

温度の低いものはリードとして持っておけば、件数が多くてもNA日の順に上から処理するだけで済みます。少人数で1人がISとフィールドセールスを兼ねている会社でも、この境目は同じように引いておきます。見る画面が分かれるだけで、今日やることの量が見えるようになります。

05パイプラインへ引き上げる基準

当社ではパイプラインを「1〜3か月以内に案件化しそうなもの」と決めています。リードをパイプラインへ引き上げるのは、次のどれかに当てはまったときです。

  • 導入時期(SOL)がはっきりし、商談の日程が決まった
  • 課題・決裁者・検討時期が見えてきて、商談を打診できる段階になった
  • 先方から見積もりや提案の依頼が来た

迷ったらリードのまま置きます。「たぶん来そう」で上げた案件が増えるほど、パイプラインの数字は実態から離れていきます。引き上げたあとは案件をリードと紐づけ、NAの間隔を数日〜2週間に詰めます。最終更新日が2週間以上動いていない案件は週に一度洗い出し、本当に動いているのかを確かめます。受注すれば顧客へ、失注すればリサイクルとしてISのリード一覧へ戻します。

06ISの1日はNA一覧から始まる

NAが正しく入っていれば、ISの1日の動きはほぼ決まります。

  • 朝、NA日が今日のリードと、期限を過ぎたリードを古い順に一覧で出す
  • 日中、一覧の上から順に、電話・メール・チャットで接触する
  • 接触した直後に、活動ログへ結果を残し、次のNAを本文と日付の両方で入れる
  • 商談の見込みが立ったら、案件を作ってパイプラインへ上げる
  • 夕方、期限切れと空欄が残っていないか確かめ、残ったものは日付を付け直す

「今日は誰に連絡しようか」を毎朝考えていると、それだけで時間がなくなり、連絡しやすい相手に偏ります。並び順はSFAのNA日に任せて、人は「この相手に何を聞くか」に時間を使います。期限切れを翌日へ回し続けると、NA日が意味を持たなくなるので、その日のうちに接触するか、理由を書いて日付を付け直します。

07空いている情報が次に連絡する理由になる

NAの中身を考えるとき、手がかりになるのは「このリードについて、まだ何が分かっていないか」です。RINGO SFAでは、接触のたびに4つの観点で、何が分かったかを記録しています。

  • 顧客理解:課題、検討時期、現在使っているサービスや外注先、不満やボトルネック
  • 関係深化:担当者名、メールアドレス、会話が成立したか、資料の送付と確認、相手から質問があったか
  • 社内浸透:社内で共有されたか、関係者を紹介してもらえたか、決裁者が分かっているか
  • 次回設計:次に連絡する理由がはっきりしているか、商談を打診する余地があるか

15の項目に配点があり、31点満点のスコアでA〜Dのランクに分けています。13点以上のAランクは、商談化の手前という目安です。

使い方は単純で、埋まっていない項目を次のNAにします。検討時期が分かっていなければ、次は時期を聞く。決裁者が分かっていなければ、稟議の流れと最終的に決める方を聞く。こうすると、前に進んだかどうかを電話の回数ではなく、分かったことの数で測れるようになります。10回電話して何も埋まっていないリードと、3回で課題と時期と決裁者が分かったリードでは、次にかける時間の配分が変わります。

08失注はリサイクルリードとして残す

失注した案件は、削除もアーカイブもせず「リサイクル」のフェーズに移します。RINGO SFAでは、このとき「失注したので2ヶ月後に再架電、メール、チャット」というNAが、2ヶ月後の日付で自動的に入ります。案件をリサイクルにするだけで、2ヶ月後にはISのNA一覧に戻ってくる仕組みです。受注やリサイクルになっても、一覧から自動で消すことはしていません。アーカイブは担当者が判断して手で行います。

失注の理由の多くは、時期・予算・社内の優先度です。2ヶ月たてば担当者が替わっていたり、来期の予算枠が見えてきたりします。しかもリサイクルリードは、課題も決裁者も前回の提案内容も分かっている、ISにとって最も情報の多いリストです。「前回は予算の時期が合わなかったので、来期の枠が決まる頃かと思いご連絡しました」と、理由を持って連絡できます。

商談済みのリードをどう記録しておくかは、テレアポとISは何が違う? AI時代の営業と、リサイクルリード1,000件の意味で詳しく書いています。

09ISが回るのに必要なリードの数

NAで毎日を回す運用は、リードの数が足りないと成り立ちません。当社が目安にしているのは、次の2つの数字です。

リサイクルリード

1,000件前後

失注・過去顧客・商談済み・接触済みで、まだ商談に至っていないリードの総数

有効リード

30件 / 月

連絡先が分かり、実際に接触できる新しいリード。30〜50件あれば余裕が出る

1,000件を2ヶ月に1回のNAで回すと、月に約500件です。営業日20日で割ると1日25件ほどで、そこに新しい有効リードが1日1〜2件加わります。IS1人が毎日続けられる量の目安です。ここでの2ヶ月は、失注後のリサイクルNAの間隔に合わせた仮の置き方で、実際にはリードの種類ごとに間隔が変わります。

母数が少ないと、NA一覧がすぐに空になります。空いた時間を埋めようとして同じ相手に短い間隔で連絡し、押しの強い連絡が増えて関係を損ねます。反対に、新しいリードが入らないと、リサイクルの再接触ばかりになり、「いま検討している会社」との接点が減っていきます。月30件の有効リードは、その接点を補う量です。母数が多すぎて期限切れのNAが積み上がるなら、人を増やすか、温度の低いリードのNA間隔を延ばして調整します。

なお、前回の記事では、一度は商談した濃いリサイクルリード1,000件以上を、本格運用の最低ラインとしました。この記事の1,000件はもう少し広く、資料請求や接触だけのリードも含めた数です。商談済みのリードの割合が高いほど、同じ1,000件でも案件になる数は増えます。

10リードの種類は混ざっていてよい

資料請求、問い合わせ、商談済み、失注、過去顧客。温度の違うリードが1つの一覧に混ざっていてかまいません。違いは、NAの間隔と中身で調整します。

種類最初のNAの例NAの間隔の目安
問い合わせ当日〜翌営業日に連絡し、商談の日程を打診する数日〜1週間
資料請求2営業日以内に架電。資料を見たかと、検討の状況を聞く2〜4週間
商談済み見送りの理由が変わったか、検討が再開する条件が整ったかを確かめる1〜2ヶ月
失注2ヶ月後に再接触し、失注の理由が変わったかを聞く2ヶ月
過去顧客近況を伺い、新しい提案の材料を案内する1〜3ヶ月

種類ごとに別のリストを作って別々に管理するより、すべてを同じNA一覧に並べた方が、今日やることが1つの画面で済みます。間隔の目安は商材や検討期間によって変わるので、最初はこの表から始めて、自社のリードの反応に合わせて直してください。種類はリードソースとして記録しておき、あとで種類別に商談化率を比べると、どの種類のリードを増やすべきかが数字で見えてきます。

11週ごとに見る数字

NAの運用がうまく回っているかは、週に一度、次の数字で確かめます。

  • NAが空欄の件数(目標は0件。リードと案件の両方で)
  • 期限切れのNAの件数
  • 今月の有効リードの件数(目安は30件前後)
  • リサイクルリードの総数(目安は1,000件前後)
  • パイプラインへ引き上げた件数
  • 親密度のランクが上がったリードの件数

数字は原因の当たりをつけるために見ます。期限切れが増えていれば、母数に対して人が足りていない。引き上げが少なければ、NAの中身が薄く、接触しても分かることが増えていない。有効リードが30件を下回っていれば、マーケティング側で新しい接点を増やす必要がある。このように、どこを直すかを分けて考えられます。

よくあるのは、SFAのリードをテレアポ会社に渡して、アポだけ取ってもらって終わる形です。アポの件数は出ますが、検討時期や決裁者、断られた理由がSFAに残らないため、次のNAが書けません。接触のたびにBANTと導入時期をSFAに残し、次のNAにつなげることが、リードを資産として積み上げる条件になります。

12まとめ

NAは「次にやる行動」と「それをやる日」の1組です。全リード・全案件で空欄をつくらず、誰に・どの手段で・何を確かめるかまで書きます。ISはリード一覧でNAを回し、1〜3か月以内に案件化しそうなものだけをパイプラインへ上げます。接触のたびに分かっていない項目を確かめ、それを次のNAの中身にします。失注はリサイクルとして残し、2ヶ月後にもう一度接触します。

この運用を毎日続けるには、リサイクルリードが1,000件前後と、月30件ほどの有効リードがあると回しやすくなります。資料請求、問い合わせ、失注、過去顧客が混ざっていてもかまいません。まずは自社のSFAで、NAが空欄のリードが何件あるかを数えるところから始めてみてください。

RINGO INSIDE SALES

この運用を、
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