資料請求のあと動かなくなったリード、一度商談して見送りになったお客様。SFAにはそうしたリードが毎月たまっていきます。どれも、検討の時期が来れば案件になる相手です。それを内勤の営業、インサイドセールス(以下IS)で案件に変えていくとき、毎日の動きを決めているのがネクストアクション(NA)です。
この記事では、当社が自社開発しているSFA「RINGO SFA」の運用の形をもとに、NAの書き方、リードとパイプラインの分け方、失注したリードの扱い、そしてISが回り続けるのに必要なリードの数をまとめます。
01NAは「行動」と「日付」の1組
NAはNext Actionの略で、そのリードや案件に対して次に何をするかを指します。ISの運用では、これを「NA本文」と「NA日」の2つで持ちます。本文には次にやる行動を、日付にはそれをやる日を書きます。
2つがそろって、初めて誰かの「今日やること」になります。SFAの一覧はNA日で並び替えて使うので、日付のないNAはその一覧に出てきません。本文がどれだけ丁寧でも、日付が空いていれば、そのリードは誰にも思い出されないまま残ります。逆に、日付だけ入っていて本文が「フォロー」なら、当日に一覧には出てきても、電話をかけて何を話せばよいかが分かりません。
RINGO SFAでは、リードにも案件にも、このNA本文とNA日の項目があります。リードと案件が紐づいている場合は、どちらかでNAを更新すると、もう片方にも同じ内容が入ります。ISがリード側で書いたNAと、フィールドセールスが案件側で見ているNAが食い違わないようにするためです。
02動かないNAと、書き直した例
現場でよく見かけるのは、次のようなNAです。どれも書いた本人には意味が分かっていても、翌週の自分や別の担当者が読むと、何をすればよいかが分かりません。
| よくない書き方 | なぜ動かないか | 書き直した例 |
|---|---|---|
| フォロー | 誰に何をするのかが分からない | 担当者へ架電。送った資料を見たかと、導入を考えている時期を聞く |
| また連絡 | 日付と手段がない | 11月第1週にメール。来期予算が決まる時期を確認する |
| 検討中 | 相手の状態であって、こちらの行動ではない | 決裁者に同席してもらう打ち合わせを打診する |
| (NA日が空欄) | NA日順の一覧に並ばず、忘れられる | 先方の都合が読めなくても、仮で2週間後の日付を入れる |
書き直した例はどれも、誰に、どの手段で、何を確かめるかが入っています。ここまで書いておけば、担当者が休んだ日に別の人が代わりに電話をかけても、同じ話ができます。
03NAを書くときの4つの決まり
NAの質は、個人の丁寧さに任せるとばらつきます。チームで次の4つを決めておくと、誰が書いても使えるNAになります。
- 空欄で閉じない。架電やメールの結果を記録したら、画面を閉じる前に次のNAを入れる。結果の記録とNAの入力を1つの作業として扱い、全リード・全案件でNAの空欄をゼロにする。
- 行動を書く。「検討中」「様子見」は相手の状態なので、NAには自分がやることを書く。
- 日付は必ず入れる。先方の都合が読めないときも仮の日付を置く。日付があれば、その日にもう一度判断し直せる。
- 連絡する理由を持つ。前回聞けなかったこと、送った資料、予算の時期など、次に連絡する理由をNAに書いておく。
4つ目がいちばん守られにくい決まりです。「その後いかがですか」だけの電話は、相手にとって答えようがありません。「前回、来期の予算が決まるのは11月と伺ったので、その前に比較の材料をお送りしたい」と言えれば、相手も話を続ける理由ができます。その一文を、前回の電話を切った直後にNAとして書いておくわけです。
04リードとパイプラインを分けて持つ
THEモデルは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに役割を分けて、営業のプロセスをつなぐ考え方です。SFAの上でいえば、ISが毎日見るのはリード一覧、フィールドセールスが見るのはパイプライン(案件)です。受注したら顧客として、カスタマーサクセスに渡ります。
ここで大事なのは、部署を分けるかどうかより先に「どこまでがリードで、どこからが案件か」の境目を決めておくことです。すべてをパイプラインに入れると、温度の低い案件が何百件も並び、どれが動いているのか分からなくなります。パイプラインから読む受注の見込みも当たらなくなります。
| リード | パイプライン(案件) | |
|---|---|---|
| 目的 | 関係をつくり、商談になる時期を待つ | 商談を前に進め、受注か失注かを決める |
| 件数 | 多い(数百〜千件単位) | 少ない(担当者1人あたり数十件まで) |
| NAの間隔 | 数週間〜2ヶ月 | 数日〜2週間 |
| 毎日見るもの | NA日が今日のリードと、期限切れのリード | フェーズ、確度、最終更新日 |
温度の低いものはリードとして持っておけば、件数が多くてもNA日の順に上から処理するだけで済みます。少人数で1人がISとフィールドセールスを兼ねている会社でも、この境目は同じように引いておきます。見る画面が分かれるだけで、今日やることの量が見えるようになります。
05パイプラインへ引き上げる基準
当社ではパイプラインを「1〜3か月以内に案件化しそうなもの」と決めています。リードをパイプラインへ引き上げるのは、次のどれかに当てはまったときです。
- 導入時期(SOL)がはっきりし、商談の日程が決まった
- 課題・決裁者・検討時期が見えてきて、商談を打診できる段階になった
- 先方から見積もりや提案の依頼が来た
迷ったらリードのまま置きます。「たぶん来そう」で上げた案件が増えるほど、パイプラインの数字は実態から離れていきます。引き上げたあとは案件をリードと紐づけ、NAの間隔を数日〜2週間に詰めます。最終更新日が2週間以上動いていない案件は週に一度洗い出し、本当に動いているのかを確かめます。受注すれば顧客へ、失注すればリサイクルとしてISのリード一覧へ戻します。
06ISの1日はNA一覧から始まる
NAが正しく入っていれば、ISの1日の動きはほぼ決まります。
- 朝、NA日が今日のリードと、期限を過ぎたリードを古い順に一覧で出す
- 日中、一覧の上から順に、電話・メール・チャットで接触する
- 接触した直後に、活動ログへ結果を残し、次のNAを本文と日付の両方で入れる
- 商談の見込みが立ったら、案件を作ってパイプラインへ上げる
- 夕方、期限切れと空欄が残っていないか確かめ、残ったものは日付を付け直す
「今日は誰に連絡しようか」を毎朝考えていると、それだけで時間がなくなり、連絡しやすい相手に偏ります。並び順はSFAのNA日に任せて、人は「この相手に何を聞くか」に時間を使います。期限切れを翌日へ回し続けると、NA日が意味を持たなくなるので、その日のうちに接触するか、理由を書いて日付を付け直します。
07空いている情報が次に連絡する理由になる
NAの中身を考えるとき、手がかりになるのは「このリードについて、まだ何が分かっていないか」です。RINGO SFAでは、接触のたびに4つの観点で、何が分かったかを記録しています。
- 顧客理解:課題、検討時期、現在使っているサービスや外注先、不満やボトルネック
- 関係深化:担当者名、メールアドレス、会話が成立したか、資料の送付と確認、相手から質問があったか
- 社内浸透:社内で共有されたか、関係者を紹介してもらえたか、決裁者が分かっているか
- 次回設計:次に連絡する理由がはっきりしているか、商談を打診する余地があるか
15の項目に配点があり、31点満点のスコアでA〜Dのランクに分けています。13点以上のAランクは、商談化の手前という目安です。
使い方は単純で、埋まっていない項目を次のNAにします。検討時期が分かっていなければ、次は時期を聞く。決裁者が分かっていなければ、稟議の流れと最終的に決める方を聞く。こうすると、前に進んだかどうかを電話の回数ではなく、分かったことの数で測れるようになります。10回電話して何も埋まっていないリードと、3回で課題と時期と決裁者が分かったリードでは、次にかける時間の配分が変わります。
08失注はリサイクルリードとして残す
失注した案件は、削除もアーカイブもせず「リサイクル」のフェーズに移します。RINGO SFAでは、このとき「失注したので2ヶ月後に再架電、メール、チャット」というNAが、2ヶ月後の日付で自動的に入ります。案件をリサイクルにするだけで、2ヶ月後にはISのNA一覧に戻ってくる仕組みです。受注やリサイクルになっても、一覧から自動で消すことはしていません。アーカイブは担当者が判断して手で行います。
失注の理由の多くは、時期・予算・社内の優先度です。2ヶ月たてば担当者が替わっていたり、来期の予算枠が見えてきたりします。しかもリサイクルリードは、課題も決裁者も前回の提案内容も分かっている、ISにとって最も情報の多いリストです。「前回は予算の時期が合わなかったので、来期の枠が決まる頃かと思いご連絡しました」と、理由を持って連絡できます。
商談済みのリードをどう記録しておくかは、テレアポとISは何が違う? AI時代の営業と、リサイクルリード1,000件の意味で詳しく書いています。
09ISが回るのに必要なリードの数
NAで毎日を回す運用は、リードの数が足りないと成り立ちません。当社が目安にしているのは、次の2つの数字です。
リサイクルリード
1,000件前後
失注・過去顧客・商談済み・接触済みで、まだ商談に至っていないリードの総数
有効リード
30件 / 月
連絡先が分かり、実際に接触できる新しいリード。30〜50件あれば余裕が出る
1,000件を2ヶ月に1回のNAで回すと、月に約500件です。営業日20日で割ると1日25件ほどで、そこに新しい有効リードが1日1〜2件加わります。IS1人が毎日続けられる量の目安です。ここでの2ヶ月は、失注後のリサイクルNAの間隔に合わせた仮の置き方で、実際にはリードの種類ごとに間隔が変わります。
母数が少ないと、NA一覧がすぐに空になります。空いた時間を埋めようとして同じ相手に短い間隔で連絡し、押しの強い連絡が増えて関係を損ねます。反対に、新しいリードが入らないと、リサイクルの再接触ばかりになり、「いま検討している会社」との接点が減っていきます。月30件の有効リードは、その接点を補う量です。母数が多すぎて期限切れのNAが積み上がるなら、人を増やすか、温度の低いリードのNA間隔を延ばして調整します。
なお、前回の記事では、一度は商談した濃いリサイクルリード1,000件以上を、本格運用の最低ラインとしました。この記事の1,000件はもう少し広く、資料請求や接触だけのリードも含めた数です。商談済みのリードの割合が高いほど、同じ1,000件でも案件になる数は増えます。
10リードの種類は混ざっていてよい
資料請求、問い合わせ、商談済み、失注、過去顧客。温度の違うリードが1つの一覧に混ざっていてかまいません。違いは、NAの間隔と中身で調整します。
| 種類 | 最初のNAの例 | NAの間隔の目安 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | 当日〜翌営業日に連絡し、商談の日程を打診する | 数日〜1週間 |
| 資料請求 | 2営業日以内に架電。資料を見たかと、検討の状況を聞く | 2〜4週間 |
| 商談済み | 見送りの理由が変わったか、検討が再開する条件が整ったかを確かめる | 1〜2ヶ月 |
| 失注 | 2ヶ月後に再接触し、失注の理由が変わったかを聞く | 2ヶ月 |
| 過去顧客 | 近況を伺い、新しい提案の材料を案内する | 1〜3ヶ月 |
種類ごとに別のリストを作って別々に管理するより、すべてを同じNA一覧に並べた方が、今日やることが1つの画面で済みます。間隔の目安は商材や検討期間によって変わるので、最初はこの表から始めて、自社のリードの反応に合わせて直してください。種類はリードソースとして記録しておき、あとで種類別に商談化率を比べると、どの種類のリードを増やすべきかが数字で見えてきます。
11週ごとに見る数字
NAの運用がうまく回っているかは、週に一度、次の数字で確かめます。
- NAが空欄の件数(目標は0件。リードと案件の両方で)
- 期限切れのNAの件数
- 今月の有効リードの件数(目安は30件前後)
- リサイクルリードの総数(目安は1,000件前後)
- パイプラインへ引き上げた件数
- 親密度のランクが上がったリードの件数
数字は原因の当たりをつけるために見ます。期限切れが増えていれば、母数に対して人が足りていない。引き上げが少なければ、NAの中身が薄く、接触しても分かることが増えていない。有効リードが30件を下回っていれば、マーケティング側で新しい接点を増やす必要がある。このように、どこを直すかを分けて考えられます。
よくあるのは、SFAのリードをテレアポ会社に渡して、アポだけ取ってもらって終わる形です。アポの件数は出ますが、検討時期や決裁者、断られた理由がSFAに残らないため、次のNAが書けません。接触のたびにBANTと導入時期をSFAに残し、次のNAにつなげることが、リードを資産として積み上げる条件になります。
12まとめ
NAは「次にやる行動」と「それをやる日」の1組です。全リード・全案件で空欄をつくらず、誰に・どの手段で・何を確かめるかまで書きます。ISはリード一覧でNAを回し、1〜3か月以内に案件化しそうなものだけをパイプラインへ上げます。接触のたびに分かっていない項目を確かめ、それを次のNAの中身にします。失注はリサイクルとして残し、2ヶ月後にもう一度接触します。
この運用を毎日続けるには、リサイクルリードが1,000件前後と、月30件ほどの有効リードがあると回しやすくなります。資料請求、問い合わせ、失注、過去顧客が混ざっていてもかまいません。まずは自社のSFAで、NAが空欄のリードが何件あるかを数えるところから始めてみてください。
RINGO INSIDE SALES
この運用を、
そのまま代行します。
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