今回は、以下のツイートについて、営業メール・問い合わせフォーム営業のDX化、コールドリストへの継続的な接触、そしてBtoBの集客経路を分散させる考え方まで、詳しく解説します。
まず、投稿の中心になったのが、この話です。
営業メールや問い合わせフォーム営業のDX化というと、「人間がやっていた送信作業を自動化すること」だと思われるかもしれません。もちろん、それも大切です。しかし、今回私が面白いと感じたのは、単に送信が楽になったことではありません。
「誰に、何を伝え、どのような反応があったのか」を継続して管理できるようになると、営業リストの使い方そのものが変わる。 ここに、大きな意味がありました。
一度送って、返信がなければ終わり。新しいリストを集めて、また同じ文章を送る。これを繰り返す営業から、狙いたい顧客群を整理し、その顧客群に合った情報を届け、反応を記録し、次の接触を改善していく営業へ変わったわけです。
ただし、継続接触とは、相手の意向を無視して何度でも送ることではありません。接触できる条件を確認し、拒否を尊重しながら、「今すぐではないが、将来お役に立てるかもしれない相手」との接点をどう設計するか、という話です。
こうした営業活動のDXを支援するSaaSとして、弊社では「RINGO DX」をご案内しています。現在は、弊社とお取引のあるお客様のみに提供しています。 営業メールや問い合わせフォーム営業を、単発の作業ではなく継続的な営業の仕組みに変えたい企業様は、記事後半のご案内もご覧ください。
目次
- 1. 営業DXで変えたかったのは、送信速度より「営業の管理単位」
- 2. 営業リストは、業種だけではなく「何を提案する相手なのか」で分ける
- 3. リストごと・文章ごとに分析できると、営業のPDCAが具体的になる
- 4. なぜ、コールドリストが「リサイクルリードみたいな感覚」になるのか
- 5. 継続接触の目的は、相手が必要になったときに思い出してもらうこと
- 6. ただし、リサイクルリードの運用だけで今月の案件をつくろうとしてはいけない
- 7. BtoBの営業・集客は、複数の手段を組み合わせて設計する
- 8. 集客経路を分散させることは、マーケターのリスク管理でもある
- 9. 「できる限り全部やる」を、気合いではなく年間の運用に落とし込む
- 10. 営業DXで蓄積したいのは、企業情報だけではなく「次に使える知識」
- 11. 営業メール・問い合わせフォーム営業のDXをご検討なら「RINGO DX」
- 12. まとめ:営業は、一回で売る勝負から、接点と学習を積み上げる活動へ
最近、営業メールと問い合わせフォーム営業行為をDX化したんだけど「このリストにはこの文章を送る」という設定をリスト毎に細かく区分けして管理運用できるようになった結果、リスト毎&文章毎で成果の分析やPDCAが回せるようになっただけではなく、認知されたい顧客に定期的に接触できるようになったことで、コールドリストなのにリサイクルリードみたいな感覚になってきたの凄い。
営業DXで変えたかったのは、送信速度より「営業の管理単位」
「何件送ったか」だけでは、次に何をすべきか分からない
例えば、今月は営業メールを1,000件送ったとします。その結果、何件か返信があり、商談も生まれた。この数字だけでも活動量の確認はできますが、次の改善を考えるには情報が足りません。
どの業界から返信が来たのか。どの規模の企業が商談になったのか。何を訴求した文章だったのか。相手はすぐに依頼したかったのか、それとも情報収集の段階だったのか。こうしたことが分からなければ、翌月も「とりあえず同じことを繰り返す」になってしまいます。
逆に、成果が出なかった場合も同じです。リストが悪かったのか、文章が悪かったのか、提案内容が合っていなかったのか、タイミングが合わなかったのかを切り分けられません。結果として、「メール営業は駄目だ」「問い合わせフォーム営業は効果がない」と、手法全体の問題にしてしまいやすくなります。
私が変えたかったのは、この状態です。送信件数を増やすだけではなく、営業活動を、改善できる単位に分けて管理することが必要だと考えました。
「このリストには、この文章を送る」を運用の基本にする
そこで重要になるのが、ツイートに書いた「このリストにはこの文章を送る」という設定です。
例えば、同じ営業代行サービスでも、新規事業の立ち上げを進めている会社と、既存事業の営業人員が足りない会社では、話の入り口を変えるべきです。前者には、新しい顧客層へのアプローチや営業仮説の検証を伝える。後者には、既存の営業活動を止めずに実行量を補う体制を伝える。提供するサービスに共通部分があっても、相手にとっての意味は違います。
すべての企業に「弊社は営業代行をしています。お打ち合わせしませんか」と送るのではなく、「この企業群には、こういう課題があるのではないか」という仮説を立て、その仮説に合う文章を用意する。その組み合わせごとに、実行と結果を管理します。
顧客情報を属性や行動などの条件で分類し、分類したグループをメールや業務フローに利用する考え方は、CRMの運用にもあります。例えばHubSpotの公式ドキュメントでも、条件に基づいてレコードをセグメント化し、マーケティングメールなどに活用する仕組みが説明されています。今回の運用で重視したのも、「全員をひとまとめにしない」という点です。
大切なのは、分類すること自体ではありません。分類した結果、伝える内容や次の行動が変わることです。
営業リストは、業種だけではなく「何を提案する相手なのか」で分ける
相手の属性と、こちらの提案理由をつなげる
リストを分けるとき、まず思いつくのは業種や地域、企業規模だと思います。これらは出発点として使えますが、最終的には「なぜ、その企業に、この提案をするのか」までつなげたいところです。
例えば、採用支援を提案する場合を考えてみます。従業員が少ない会社だから採用に困っている、と決めつけることはできません。一方で、採用ページに複数職種の募集が掲載されている、拠点を増やしている、採用担当者を募集している、といった情報があれば、提案の仮説をもう少し具体的にできます。
ただし、公開情報から分かることと、こちらが推測していることは区別しなければいけません。「求人を掲載している」という事実から、「応募対応に困っている」と断定するのは飛躍です。営業文章では、「採用活動が拡大する中で、応募対応や面接調整の負担が生じていませんか」と問いかける形にできます。
このように、リストの条件は、相手の状況を理解するための材料です。相手の内情を勝手に決めつけるための材料ではありません。
細かく分けすぎると、改善するための数字が集まらない
一方で、細かく分類すればするほど良いわけでもありません。
最初から業種、従業員数、売上規模、地域、設立年数、採用状況、担当者の役職などを掛け合わせると、分類が増えすぎて、一つひとつの対象企業数が少なくなります。その状態では、返信が1件あっただけで率が大きく変わり、比較が難しくなります。
私なら、最初は「提案する内容が明確に変わるところ」で分けます。新規顧客開拓の支援を提案する企業群、既存リードの追客を提案する企業群、営業管理の整備を提案する企業群、といった分け方です。その後、実際の反応を見ながら、必要なところをさらに分けていきます。
つまり、最初から完璧な分類を完成させるのではなく、営業しながら分類の精度を上げていくわけです。
営業リストは、完成品を一度作って終わりにするものではなく、営業活動から得た情報で更新していくもの。 私は、この考え方が重要だと思っています。
リストごと・文章ごとに分析できると、営業のPDCAが具体的になる
返信率だけを見ると、改善の方向を間違える
営業文章を評価するとき、返信率は分かりやすい指標です。しかし、返信には、商談につながるものもあれば、お断りや送信停止の連絡もあります。返信が多いことと、事業上の成果が大きいことは同じではありません。
例えば、以下は比較方法を説明するための仮の数字です。弊社の実績や業界平均ではありません。
文章Aを1,000社に送り、返信が50件、案件化が5件だったとします。一方、文章Bを1,000社に送り、返信が20件、案件化が10件だったとします。返信率ではAが上ですが、案件化の件数ではBが上です。
さらに、案件化した後の受注率や受注額も確認する必要があります。商談数は多いものの、予算や依頼内容が合わず受注につながらない文章と、商談数は少なくても適合する顧客と会える文章では、評価が変わります。
ですから、営業DXで目指したいのは、「返信が多かった文章」を探すことだけではありません。どの顧客群に、何を伝えると、どのような商談が生まれるのかを分かるようにすることです。
文章を修正したら、過去の文章と区別して記録する
実務では、文章を少しずつ修正しているうちに、何が送られていたのか分からなくなることがあります。
今月の文章と先月の文章で、件名が違う。冒頭の課題提起が違う。価格を記載したかどうかも違う。それなのに、すべて「営業メール」という一つの数字で集計してしまうと、改善の材料になりません。
そのため、文章にはバージョンを持たせ、実際に送った内容を残す設計が必要だと考えています。リストの条件、使用した文章、実行日、結果がつながっていれば、「この変更の後に、こういう反応が増えた」という確認ができます。
比較する際も、異なる業界に異なる文章を送って、そのまま文章の優劣を決めないようにします。文章を比較したいのであれば、できるだけ似た条件の企業群で比較する。リストを比較したいのであれば、訴求条件をそろえる。複数の条件を同時に変えた場合には、何が影響したかを断定しない。この整理が、営業のPDCAを具体的にします。
「送れた」と「読まれた」と「検討された」を混同しない
もう一つ重要なのは、活動の状態を分けることです。
メールの送信処理が完了したことと、相手が本文を読んだことは同じではありません。問い合わせフォームの送信が完了したことと、提案を検討する担当者に届いたことも同じではありません。
そのため、送信件数だけで「認知が取れた」と判断することはできません。少なくとも、実行の記録と、相手の反応の記録は分けたいところです。さらに、返信があった場合も、「情報提供を希望」「来期に再連絡」「今は不要」「今後の連絡を希望しない」といった違いを残します。
分析の精度は、集計画面の見た目よりも、その手前で何を記録しているかに左右されます。数字をきれいに並べる前に、数字の意味をそろえる必要があるわけです。
なぜ、コールドリストが「リサイクルリードみたいな感覚」になるのか
最初から関係があるわけではないが、次の行動を設計できるようになる
ここで、今回のツイートの中心に戻ります。
本記事では、まだ商談や問い合わせなどの接点がない営業対象を「コールドリスト」、過去に接点があったものの案件化や受注に至らず、再び接触する対象を「リサイクルリード」と呼びます。
両者は、同じものではありません。過去に話したことがある相手と、こちらから初めて連絡する相手では、関係性も情報量も異なります。営業メールを何度か送っただけで、相手が見込み客になったと判断することもできません。
それでも、コールドリストの管理と継続接触の設計が整うと、運用する側の感覚が変わります。
「一度送ったが、反応がなかった企業」というだけではなく、「このテーマを伝えた企業」「この時期には需要がなかった企業」「この内容なら情報を受け取りたいと回答した企業」として整理できるようになります。そして、次に何をするかを、前回の記録に基づいて決められるようになります。
私が「リサイクルリードみたいな感覚」と表現したのは、この部分です。すべてのコールドリストが見込み客に変わったという意味ではなく、一回で使い捨てるリストから、履歴に基づいて運用する対象へ変わったということです。
「今は必要ない」と「今後も必要ない」は分けて考える
例えば、営業支援サービスを紹介したときに、「今は営業人員が足りている」と言われたとします。それは、その時点での状態です。新しい事業を始める、担当者が異動する、営業目標が変わるといった事情が生じれば、必要な支援も変わる可能性があります。
だからといって、変化が起こるまで無条件に連絡し続けてよい、という意味ではありません。大切なのは、「現時点の需要」と「今後の接触の可否」を別々に確認することです。「今は不要だが、半年後に連絡してほしい」という相手と、「今後の営業連絡は不要」という相手を、同じ扱いにしてはいけません。
BtoBの購買には、今すぐ検討している人と、まだ検討していない人がいるという視点も参考になります。LinkedInのB2B Instituteは「95-5ルール」として、多くの潜在顧客が今この瞬間には購買段階にいないことと、将来の購買に備えてブランドを記憶してもらう重要性を説明しています。ただし、95%という比率を、あらゆる商材にそのまま当てはめるべきではありません。また、この議論は、無反応の相手への営業メールを繰り返せば成果が出ると証明するものでもありません。
私がこの考え方から営業設計に取り入れたいのは、「今日買わない人を、今日の売上だけで評価しない」という点です。
継続接触の目的は、相手が必要になったときに思い出してもらうこと
会社名だけではなく、「何を相談できる会社なのか」を覚えてもらう
ツイートでは、営業についてかなり強い表現を使いました。
営業行為っていうのは、受注するか明確に拒絶されるかするまで永遠に定期的に接触し続けるのが肝です。
この文章で伝えたかったのは、営業を一回きりの勝負にしない、ということです。
一度連絡した時点では必要なかったとしても、相手の状況が変わったときに、「そういえば、あの会社がこういう支援をしていた」と思い出してもらえる状態を目指す。そのために、接触できる相手との関係を、営業担当者の記憶や気分に任せず管理したいと考えています。
ただし、覚えてもらう対象は会社名だけでは足りません。「何となくメールが来る会社」よりも、「新規開拓の実行が足りないときに相談できる会社」「展示会で集めた名刺を追客したいときに相談できる会社」として認識してもらいたいところです。
そのためには、毎回すべてのサービスを詰め込むより、相手の課題と自社の提供価値が結びつく情報を届けるほうが、運用の意図が明確になります。
同じ売り込みを繰り返すのではなく、接触する理由をつくる
初回の連絡ではサービスの概要を伝え、次の接点では相手の業界に関係する課題の整理を紹介する。情報提供を希望する相手には、実務に役立つ記事や、検討時のチェックポイントを案内する。再連絡の時期を指定された相手には、その時期に、前回の会話を踏まえて連絡する。
こうした設計であれば、「前回と同じ文章をもう一度送る」だけではなくなります。
もちろん、記事や資料を送る場合も、それが相手にとって必要かどうかを考える必要があります。「役立つ情報だから」という送り手の判断だけで、頻度を増やしてよいわけではありません。Googleも、業務用・一斉メールのベストプラクティスとして、受信者の同意、解除のしやすさ、明確な内容、受信者にとって合理的な頻度などを挙げています。
営業を続けるとは、自社の都合を押し続けることではありません。相手との接点を、どうすれば意味のあるものとして維持できるかを考え続けることです。
「送る設計」と同じくらい、「止める設計」が重要になる
ここは、営業DXに欠かせない部分です。
広告宣伝メールは、特定電子メール法上、原則として事前同意が必要です。事業者が自ら公開しているメールアドレスなどには一定の例外がありますが、公開アドレスなら無条件に送信できるわけではなく、受信拒否の表示や通知も確認する必要があります。送信者の表示や受信拒否への対応なども含め、実際の運用条件を確認しなければなりません。
問い合わせフォームについても、メールと同じ法的整理をそのまま当てはめるのではなく、フォームの用途や利用条件、営業禁止の表示などを確認する運用が必要です。営業を断られたから別の窓口に切り替える、といった運用にはしません。
また、返信がないことを同意と扱わず、反応のない対象には休止や見直しの条件を設けます。「この企業には送らない」という情報が担当者の手元にしか残らず、別の担当者や別リストから再送されることも防ぎたいところです。
営業活動は継続する。しかし、個々の相手に無期限・無条件で送り続けるわけではない。 ツイートの「永遠に」という表現を、実務に落とし込む際には、この区別が必要です。
ただし、リサイクルリードの運用だけで今月の案件をつくろうとしてはいけない
将来の相談を待つ活動と、今の需要を探す活動を分ける
ツイートの後半では、次のことも書きました。
当然、リサイクルリードの運用だけやってても “その週その月の案件化” は然程期待できないので
これは、継続接触に意味がないという話ではありません。役割が違うという話です。
例えば、半年後の見直し時期に合わせて連絡する予定の企業が100社あったとしても、その100社を今月の商談目標にそのまま組み込むことはできません。相手の検討時期がまだ来ていないのに、こちらの売上都合で案件化を求めても、計画として無理があります。
将来の相談につながる接点を育てることと、今まさに必要としている顧客を探すことは、両方必要です。前者だけでは目先の案件が足りなくなる可能性があり、後者だけでは、毎月新しい需要を探し続ける営業になってしまいます。
私は、営業計画の中で、この二つを混ぜて曖昧にしないほうがよいと考えています。「今月の案件をつくる活動」と「今後の案件につながる接点を維持する活動」に、それぞれ役割を持たせるわけです。
メール・フォーム営業でも、今すぐ案件化する分は逆算する
メール営業や問い合わせフォーム営業にも、短期の案件獲得を狙う側面があります。その部分は、必要な数字から逆算して考えます。
例えば、説明用の仮定として、新しく接触した企業からの案件化率を0.5%、必要な案件数を10件と置くと、単純計算では2,000社への接触が必要になります。ただし、これは送信量の推奨でも、成果の予測でもありません。対象企業への接触が適切に認められ、同じ条件が続き、評価期間内に案件化するという仮定を置いた計算です。
実際には、リストの適合度、文章、提案内容、時期によって率は変わります。また、同じ企業への接触を重ねた延べ件数と、新しく接触した企業数を混同してはいけません。
さらに、「案件化」の定義もそろえる必要があります。日程が取れただけなのか、具体的な課題を確認できたのか、依頼の可能性がある状態なのか。ここが曖昧なままでは、逆算した数字に意味がなくなります。
営業DXは、活動量を増やすためだけでなく、目標に対して何が足りないのかを分かるようにするためにも使うべきだと思っています。
売上だけでなく、粗利と回収まで見る
今月の案件を増やせたとしても、獲得費用や営業工数が大きすぎれば、事業として成立しません。
そのため、案件化単価だけではなく、受注までに必要だった費用、受注後に残る粗利、費用を回収するまでの期間を見ます。継続契約の商材であれば、継続期間の見込みも重要ですが、まだ確認できていない長期継続を前提に、獲得費用を正当化しないようにしたいところです。
また、継続接触の成果が後から出る可能性があるとしても、「いつか効くはず」で無期限に評価を先送りするのは違います。一定期間ごとに、意味のある返信があるか、再連絡の約束が増えているか、商談が生まれているか、拒否が増えていないかを確認し、続け方を調整します。
短期の数字と中長期の価値を分けることは、中長期施策を検証しなくてよいという意味ではありません。
BtoBの営業・集客は、複数の手段を組み合わせて設計する
ここからが、ツイートのもう一つの重要なテーマです。
営業メールや問い合わせフォーム営業の仕組みが整ったからといって、それだけですべての案件をつくろうとは考えていません。リスティング広告、メディア発信、テレアポ、紹介、ビジネスマッチング、SNS広告、過去の失注リード、既存顧客への提案まで、役割を分けて組み合わせる必要があります。
本記事でいう「マーケティングミックス」は、こうした営業施策と集客施策を組み合わせ、全体で案件をつくるという意味です。
リスティング広告とテレアポで、今、話が進む相手との接点をつくる
私はリスティング広告を、自社のサービスに関係する課題や外注先を検索している人との接点をつくる施策として位置づけます。ただし、問い合わせがあれば何でもよいわけではありません。対象顧客、広告で伝える内容、着地先のページ、問い合わせ後の対応までを合わせて設計します。
一方、テレアポは、狙いたい企業に対して直接状況を確認する活動として組み込みます。現在の課題、担当部署、見直しの予定などを確認できれば、今すぐ商談に進む対象と、将来の接点として管理する対象を分けられます。
ここでも、単にアポイント数だけを増やす運用にはしたくありません。話すべき相手と、話すべきテーマが合っているかを確認します。アポイントの件数と、営業上の前進は、常に同じではないからです。
検索で自ら動いている人との接点と、こちらから働きかける接点の両方を持つことで、一方だけに案件創出を任せない設計にします。
メール・問い合わせフォーム営業は、短期獲得と継続接触の両方を担う
今回のDX化で重視したメール・問い合わせフォーム営業は、その実行の中から今すぐ相談したい相手を見つけると同時に、今後の接触が可能な相手との情報を整理する活動として位置づけています。
「今すぐの案件化だけを見る」か、「長期の認知だけを見る」かの二択ではありません。短期の案件化率を把握しながら、次回の連絡時期や関心のあるテーマを記録していく。その両方を運用します。
ただし、長期の認知を目的にしているからといって、無反応のリストへの送信を成果扱いにはしません。相手の反応が確認できたものと、こちらが実行しただけのものを区別します。
この区別があるからこそ、短期獲得の数字を誤魔化さず、中長期の接点も捨てずに管理できます。
メディア発信とSNS広告で、自社を知るきっかけと理解する材料を用意する
継続的なメディア発信は、営業の接点で紹介できる材料を増やす活動として考えています。
例えば、営業管理に悩む企業に対して、毎回サービス資料だけを送るのではなく、営業データの整理方法や、追客が止まる原因を解説した記事を紹介できるようにする。その記事を読んだ上で相談が来れば、どのような問題意識があるのかも確認しやすくなります。
また、営業メールや紹介で自社を知った人が、詳しく調べるためにサイトを見ることも想定しておきたいところです。そのときに、提供できること、考え方、支援の進め方が分かるコンテンツを用意します。
SNS広告については、今すぐ外注先を検索している人だけを対象にするのではなく、自社の存在や扱っている課題を知ってもらうための施策として設計します。ただ広告を見せるだけではなく、その後に読んでもらう情報や、相談までの導線も必要です。
メディア発信と広告を別々の仕事にするのではなく、「知る」「理解する」「相談する」の接点としてつなげたいと考えています。
紹介・ビジネスマッチング・ネット媒体営業で、出会いの入口を増やす
紹介も、来るのを待つだけではなく、起こりやすい状態を考えたいところです。
例えば、既存顧客や協業先に、自社がどのような企業の、どのような課題を解決できるのかを伝えておく。「何かあればご紹介ください」ではなく、「営業人員を採用する前に、外注で新規開拓を試したい会社があれば相談できます」と、紹介先を思い浮かべられる説明にします。
ビジネスマッチングサイトについては、登録そのものを成果と考えず、どのような案件に提案するか、どのような情報を載せるか、提案後に何をするかまで設計します。自社に合わない案件に大量に提案しても、営業工数が増えるだけかもしれません。
ネット媒体を通じた営業も、募集案件への提案、業界ポータルへの掲載、関連媒体との協業相談など、自社の顧客と接点を持てる場所を検討対象にします。単に「有名な媒体だから使う」のではなく、そこで誰と出会い、何を提案できるかを考えます。
これらに共通するのは、自社サイトからの問い合わせだけを入口にしないということです。見込み客がすでに集まっている場所、信頼関係のある人を介して会える場所にも、営業の接点を用意します。
過去の失注リードと既存顧客にも、状況に合った提案をする
新規開拓に目が向くほど、過去に接点があった企業への対応が抜けやすくなります。しかし、失注した理由によって、次に取るべき行動は異なります。
予算時期が合わなかったのであれば、その時期を踏まえて再検討の可能性を確認する。提供範囲が合わなかったのであれば、サービスの変更があったときに、それが相手の課題に関係するかを考える。競合に決まった場合も、再連絡の可否や見直し時期を確認できているかによって対応を分けます。
一方、明確に今後の連絡を断られている相手や、課題が解決している相手に、過去の失注リードという理由だけで同じ提案を繰り返すことはしません。
既存顧客についても同じです。上位の支援内容を提案するアップセルや、関連サービスを提案するクロスセルは、自社の売上目標からではなく、顧客側に新しい課題があるかを起点にします。現在の支援が不十分なのに追加契約だけを提案しても、関係を深めることにはなりません。
新規顧客を増やす活動と、すでにある接点から適切な提案をする活動は、別々に計画して、両方実行する。 これも、営業・集客の組み合わせを考える上で大切です。
集客経路を分散させることは、マーケターのリスク管理でもある
一つの経路に依存すると、その経路の変化が営業全体に直結する
ツイートでは、次のようにも書きました。
集客経路をなるべく分散させるのがマーケターのリスクヘッジというか仕事。
例えば、毎月の案件のほとんどを一つの広告媒体に依存している場合、その媒体からの獲得が減ると、案件供給全体に影響します。紹介だけに依存している場合も、紹介が少ない月に備えた活動がなければ、同じ問題が生じます。
これは、どの手法が優れているかという話とは別です。優れた経路であっても、一つに依存すること自体にリスクがあると考えています。
そのため、今成果が出ている経路を伸ばしながら、別の経路も育てておく。短期で案件をつくる活動だけでなく、将来の問い合わせにつながる接点も持つ。マーケターには、この全体設計が求められると思います。
手法の数だけでなく、依存しているものが分かれているかを見る
ただし、施策が五つあれば分散できている、とは限りません。
例えば、同じ顧客リストに対して、メール、フォーム、電話と接触手段を増やしても、対象市場が一つであることは変わりません。また、複数の施策が同じ担当者一人に依存していれば、その担当者が動けなくなったときに、同時に止まる可能性があります。
私なら、媒体だけではなく、対象となる顧客群、紹介元、運用担当者、案件化までの時間も確認します。今月の案件をつくる経路と、数か月後の相談を育てる経路が両方あるか。自社から働きかける経路と、相手から来てもらう経路が両方あるか。こうした見方をしたいところです。
さらに、一つの案件に複数の接点が関わった場合、それぞれの施策で同じ案件を一件ずつ計上すると、全体の成果を過大評価してしまいます。案件自体は一件として管理しながら、最初に知った経路、途中の接触、問い合わせのきっかけを分けて残す設計にします。
集客経路を増やすほど、集計の仕方も重要になります。
「できる限り全部やる」を、気合いではなく年間の運用に落とし込む
最初から手段を狭めず、実行できる体制と予算をつくる
ツイートの最後には、こう書きました。
B2Bのセールスマーケは思いつく集客手段を全て漏れなく何もかも通年予算かけて出来る限り全てやりきろう。
私がここで言いたいのは、「うちは紹介だけ」「うちは広告だけ」と、最初から営業の可能性を狭めないほうがよいということです。自社の顧客と出会える手段を洗い出し、実行できるものはできる限り試し、機能するものを継続していく。そのための予算と担当を、年間で考えたいと思っています。
ただし、すべてに同じ予算を配るという意味ではありません。成果が出ている施策、育てている施策、検証中の施策では、予算の意味が違います。また、実行体制がないまま同時に手を広げると、どれも中途半端になります。
したがって、「全部やる」を実務にするには、優先順位、担当者、最低限の実行量、評価する時期を決める必要があります。試していないから分からない施策と、試した結果として続けない施策も、区別したいところです。
通年で続けるのは、同じ作業ではなく改善のサイクル
通年運用とは、年初に決めた文章や設定を、一年間そのまま使い続けることではありません。
営業して得た情報をリストの分類に反映する。反応の悪い文章を見直す。商談でよく出る質問を記事にする。記事を営業の接点で活用する。広告や紹介から入ってきた顧客の特徴を、新規開拓の対象選定に戻す。このように、施策同士で情報を使える状態をつくります。
例えば、営業メールへの返信で、特定の課題について質問が多かったとします。それは、メール文章の改善材料であると同時に、サービスページやブログで説明を充実させる材料にもなります。逆に、商談で評価された説明があれば、それを新しい営業文章の仮説にできます。
この循環ができると、営業とマーケティングが別々に試行錯誤するのではなく、学習を共有できます。
通年で予算をかけたいのは、作業を止めないためだけではありません。営業活動から得た情報を、次の営業活動に戻し続けるためです。
営業DXで蓄積したいのは、企業情報だけではなく「次に使える知識」
リストの件数よりも、そのリストをどう扱えるかが重要になる
営業リストが何万件あっても、誰に何を送ったか分からず、拒否の情報も残らず、担当者が変わると最初からやり直しになるのであれば、十分に活用できているとは言えません。
私が営業の中で蓄積したいのは、会社名や連絡先だけではありません。どの企業群にどの提案が合いやすいのか。どういう質問が出るのか。どこで話が止まるのか。再連絡を希望する時期はいつか。次に担当する人が、何を知っていれば適切に動けるのか。そうした情報です。
ここでいう「営業資産」は、会計上の資産という意味ではなく、次の営業活動に再利用できる情報や運用ノウハウという意味です。
一度の営業で受注できなくても、適切な範囲で次の判断に役立つ情報が残る。その情報を、個人の記憶ではなく組織で使える形にする。これが、私の考える営業DXの価値です。
ツールを導入しただけで、営業の仕組みができるわけではない
もちろん、管理できるツールがあっても、何を入力するか、誰が確認するか、反応があった後に誰が動くかが決まっていなければ、営業は前に進みません。
例えば、返信が来たのに担当者が決まっていない。再連絡の約束を記録したが、誰も対応していない。案件化したのに、通常の営業配信から外れていない。こうしたことが起きれば、情報を蓄積していても、顧客対応にはつながりません。
そのため、ツールの導入と同時に、返信への対応、担当者の割り当て、商談への引き継ぎ、連絡停止の反映まで決める必要があります。
自動化する部分と、人間が判断する部分を分けることも重要です。実行の補助や記録は仕組み化しながら、相手の意図を確認すること、提案の適合性を考えること、相談に回答することには、人が責任を持つ。その組み合わせで運用したいと考えています。
営業メール・問い合わせフォーム営業のDXをご検討なら「RINGO DX」
コールドリストへの営業を、実行から記録まで支えるSaaS
RINGO DXは、メール・問い合わせフォーム・テレアポといった、リストに対する営業活動の実行から記録までを、AIが作業する前提で設計した営業支援ツールです。サービスサイトでは、メールの送信ログと配信停止管理、問い合わせフォームの判定・送信・結果レポート、架電に伴うステータスや履歴の記録が案内されています。
今回の記事でお伝えしたかったのは、営業DXを「大量に送るための仕組み」で終わらせないということです。
誰に何を伝えるのかを整理し、実行した内容を残し、反応を確認し、次の行動を決める。そして、今すぐ案件になる相手への対応と、今後の接点を維持する相手への対応を分ける。こうした営業運用をつくることが、ツールを使う目的だと考えています。
現在は、弊社とお取引のあるお客様のみに提供しています
RINGO DXは、現在、弊社とお取引のあるお客様のみに提供しているSaaSです。一般向けに、どなたでもその場で登録して利用を開始できる形では提供していません。
すでに弊社とお取引のあるお客様で、営業リストの活用、メール・フォーム営業の管理、営業活動の記録に課題を感じている場合は、担当者までご相談ください。
まだ弊社とお取引のない企業様も、営業支援・営業DXのご相談としてお問い合わせいただけます。現在の商材や営業体制、リストの状態、増やしたい案件の内容を伺い、RINGO DXの利用条件や対応範囲を含めてご案内します。
「営業メールを送っているが、何が良くて何が悪いのか分からない」「問い合わせフォーム営業が単発で終わっている」「過去に接触した企業を管理できていない」「新規開拓から継続接触まで、一つの運用として整理したい」。こうした課題からのご相談で構いません。
お問い合わせの際は、「RINGO DXの記事を見た」とお知らせいただくとスムーズです。
まとめ:営業は、一回で売る勝負から、接点と学習を積み上げる活動へ
今回、営業メールと問い合わせフォーム営業をDX化して、私が大きいと感じたのは、「このリストには、この文章を送る」という整理によって、営業活動を継続して改善できるようになったことです。
リストごと、文章ごとに結果を見る。相手の反応を残す。次の接触を、前回の記録に基づいて考える。これによって、コールドリストが単なる送信先ではなく、履歴に基づいて扱う対象に変わりました。それが、「リサイクルリードみたいな感覚になってきた」という言葉の意味です。
ただし、継続接触だけで、今週・今月の案件をすべてつくれるとは考えていません。今すぐ需要のある相手を探す活動、まだ必要になっていない相手に知ってもらう活動、過去の接点を再び商談につなげる活動、既存顧客の新しい課題に応える活動を、組み合わせる必要があります。
リスティング広告も、メディア発信も、メール・フォーム営業も、テレアポも、紹介も、ビジネスマッチングも、ネット媒体を通じた営業も、SNS広告も、失注リードへの適切な再提案も、既存顧客への提案も、最初から可能性を閉じない。自社に必要な役割を考え、実行できる体制と予算をつくり、できる限りやり切る。
今月の案件をつくりながら、将来の相談につながる接点も育てる。その両方を、担当者の気合いではなく、継続して改善できる仕組みにする。
私が営業DXで実現したいのは、そういう営業です。