テレアポの成果が伸びないとき、PDCAで動かせる変数は、稼働者への働きかけ、人の入れ替え、スクリプト、リストの4つです。それぞれ結果にどれくらい効くのか、現場がどこまで手を出せるのか、どの順番で触るのかを、テレアポモンスターの運用から書きました。
■ テレアポのPDCAで動かせるのは4つだけ
アポ数は、ざっくり言えば「誰が」「何本」「どこに」「何を話したか」で決まります。このうち、立て直しの場面で現場が変えられるものを並べると、次の表のようになります。
| 変数 | 結果への効き方 | 現場が手を出せる範囲 | 効果が見えるまで |
|---|---|---|---|
| 稼働者に働きかける | 架電量と集中度が戻り、落ちた数字が元に戻る | いつでも、その日から | 数日 |
| 人を入れ替える | 個人差による上下が大きく、当たれば一気に変わる | 代わりの人を入れられる仕組みがあれば | 1〜2週間 |
| スクリプトを変える | 受付突破率や切り返しで、少し動く程度のことが多い | 自由に変えられる | 1〜2週間 |
| リストを変える | 4つの中で最も大きい | お客様の指定や商材の対象で決まっていて、触れないことが多い | リストが届きしだい |
「トークを磨けば何とかなる」と考えがちですが、表のとおり、スクリプトは触りやすい割に効きが小さい変数です。逆にリストは効きが大きいのに、現場の一存では変えられません。この差を分かったうえで、どこから手を付けるかを決めるのが、テレアポのPDCAの出発点になります。
■ 変数1:稼働者のお尻を叩く
身もふたもない話ですが、最初に見るのは稼働している人です。結局のところ、組織は人で戦うしかありません。どれだけリストやトークを整えても、電話をかけるのは人で、その人の架電量と集中度が落ちていれば、ほかの変数をいくらいじっても数字は戻りません。
成果が落ちた案件を見ると、原因がトークでもリストでもなく、単純に架電数が減っていたということがよくあります。稼働時間は変わっていないのに1時間あたりのコール数が下がっている、記録の入力が遅れて次の架電までの間が空いている、決まった時間帯に稼働できていない。こうした変化は、本人に聞く前に数字に出ます。
叩くといっても、数字を一緒に見ること
テレアポモンスターのアポインターは業務委託で動いているので、上から命令して働かせる関係ではありません。僕らがやっている「お尻を叩く」は、次のようなことです。
- 日ごとの架電数・接続数・アポ数を本人と共有し、先週や他の稼働者との差を見せる
- 落ちている数字があれば、理由を聞く。体調、ほかの仕事との掛け持ち、案件への苦手意識など、数字だけでは分からない事情がある
- 今週どこまで戻すかを、本人と一緒に具体的な数で決める
- 戻ったら、戻ったことを伝える
地味ですが、これだけで数字が戻る案件は少なくありません。人は見られていると分かると動きが変わりますし、期待している数を言葉にされると、そこに合わせようとします。費用もかからず、その日から始められるので、立て直しはまずここからです。逆に、ここを飛ばしてスクリプトの修正から入ると、本当の原因が架電量の低下だったときに、何週間も遠回りすることになります。
■ 変数2:ラインを敷いて人を変える
働きかけても戻らない場合、次の変数は人そのものです。テレアポの成果は個人差が大きく、同じリスト、同じスクリプトでも、話す人が替わるだけでアポ数が大きく変わることがあります。合わない人に同じ案件を続けてもらうより、合う人に替えたほうが、本人にとってもお客様にとっても早く結果が出ます。
ただ、人を替えるという選択肢は、代わりの人をすぐに入れられる仕組みがあって初めて使えます。替えたい人がいても、次の人が見つかるまで1か月かかるなら、現場は替えずに抱え続けるしかありません。そうなると、この変数は実質的に動かせないものになります。
人事のラインがあれば、人はすぐ入れられる
だから僕らは、現場から人事へ人の手配を頼むラインをあらかじめ敷いています。現場の担当者が「この案件で、いつまでに、どんな人が、何人必要か」をチケットで人事に渡し、人事が期日までに人を連れてくる。秀逸な人事の組織があれば、成果が出ない人がいても、新しい人をすぐに入れられます。この流れの詳しい中身は、業務委託のアポインターで多数の案件を回す、現場と人事の4ステップに書きました。
人を替える判断の目安は、同じリストとスクリプトで、ほかの人は成果が出ているのにその人だけ届かない状態が続いていることです。全員が同じように苦戦しているなら、原因は人ではなくリストかスクリプトの側にあると考えます。入れ替えは本人にとって言いにくい話でもあるので、感覚ではなく、この比較を根拠にして決めるようにしています。
■ 変数3:スクリプトを変える
3つ目はトークスクリプトです。正直に書くと、スクリプトを変えても、それほど大きな効果が出ない場合が多いです。名乗り方を変える、切り返しを増やす、クロージングの言い回しを二者択一にする。どれも受付突破率やアポ率を少しは動かしますが、稼働者の架電量の落ち込みや、リストの質の差を埋めるほどにはなりません。
理由は、同じスクリプトでも話す人によって結果が大きく違うからです。台本の一文を変えた効果より、話す人の声の調子や間の取り方、断られたあとに次の一本をすぐかけられるかの差のほうが、結果にはっきり出ます。
それでも操作できる変数として使う
効きが小さいからといって、触らなくていいわけではありません。スクリプトは、現場がお客様の許可を待たずに、すぐに変えて試せる数少ない変数です。費用もほとんどかからないので、働きかけや人の入れ替えと並行して、次のような修正を小さく試しています。
- 受付で断られる理由が偏っていれば、その場面の言い方だけを変える
- 担当者につながってから断られる理由を記録し、多いものに切り返しを用意する
- アポ率が高い稼働者の話し方を聞き、ほかの人のスクリプトに取り入れる
変えるときは一度に一か所だけにして、1〜2週間で数字を比べます。全部を同時に変えると、どの修正が効いたのか分からなくなるからです。受付の言い回しや切り返しの具体例は、受付突破のフレーズと9つのコツと断り文句への切り返しトーク集にまとめています。
■ 変数4:リストを変える
最後がリストです。実際のところ、4つの変数の中で結果に与える影響が最も大きいのはこれです。そもそもニーズのある会社に電話しているのか、決裁できる人につながる番号なのか、何度も同じ会社にかけていないか。ここがずれていると、どんなに優秀な人がどんなに良いトークで電話しても、アポにはなりません。反対に、リストが合っていれば、多少トークが粗くてもアポは取れます。
ところが、現実にはこの変数に現場が関与できない場合が多いです。リストはお客様から渡されることが多く、商材の対象となる業種や規模も、お客様の営業方針で決まっています。「このリストでは厳しいので別の業種にかけさせてください」と現場が言っても、すぐに通るものではありません。
変えられなくても、変える材料は集められる
自分たちでリストを差し替えられないぶん、現場では、お客様がリストを見直すための材料を架電の結果から集めています。
- 業種別、従業員規模別、地域別に、接続率とアポ率を分けて集計する
- 「担当部署がない」「すでに導入済み」など、対象外だった理由を記録しておく
- アポになった会社に共通する特徴を拾い、似た会社を追加の候補として挙げる
こうした数字があれば、「このリストは悪い」という感想ではなく、「この業種はアポ率がほかの半分なので、次の月はこちらの業種に寄せませんか」という具体的な相談になります。お客様にとっても判断しやすく、リストという一番大きな変数を、少しずつでも動かせるようになります。
■ 4つの変数を、どの順番で動かすか
成果が出ないとき、僕らは基本的に次の順番で見ていきます。
- まず稼働者:架電量や稼働時間が落ちていないかを数字で確かめ、落ちていれば働きかけて戻す
- 次に人:量は戻ったのに、その人だけ成果が届かないなら、人事に依頼して入れ替える
- 並行してスクリプト:断られる場面の記録をもとに、一か所ずつ直して比べる
- 根拠がそろったらリスト:全員が同じように苦戦しているなら、架電結果の集計を持ってお客様にリストの見直しを相談する
この順番にしているのは、手を出しやすく、早く結果が見えるものから確かめたほうが、原因を早く絞り込めるからです。稼働者と人の問題を片付けておかないと、リストの相談をしても「人の問題ではないか」と返されて話が進みません。逆に、量も人も問題ないと示せれば、リストの見直しを相談するときの説得力が増します。
もう一つ気をつけているのは、同時にいくつも変えないことです。人を替えた週にスクリプトとリストまで変えると、数字が戻っても何が効いたのかが分からず、次に同じことが起きたときに打つ手が決められません。一度に動かすのは一つの変数にとどめ、結果を見てから次に進むようにしています。毎月のアポ目標の決め方については、毎月何件アポを取ればいいのかを考えた記事もあわせてどうぞ。
■ まとめ
テレアポで成果が出ないときに動かせる変数は、稼働者への働きかけ、人の入れ替え、スクリプト、リストの4つです。働きかけはその日からでき、人の入れ替えは人事のラインがあって初めて使え、スクリプトは自由に変えられる代わりに効きが小さく、リストは最も効くのに現場からは触りにくい。
それぞれの性質が違うからこそ、手を出しやすいものから順に、一つずつ確かめていくことが立て直しの近道になります。組織は人で戦うしかない。だから僕らは、人を見ること、人を入れ替えられる仕組みを持つことを軸に置きながら、スクリプトとリストも数字を根拠に動かしていきます。