テレアポモンスターが業務委託のアポインターで多数の案件を回すときの流れを、案件の発生、人事へのチケット発行、期日までの採用、少ない工数でのOJTの4ステップで書きました。継続・増員・解約の判断や、窓口を引き渡す基準も紹介します。
■ 案件が動くたびに、人が動く
業務委託のアポインターで案件を回す現場では、「人の手配」が一度きりの作業になりません。案件が増えれば人を足し、成果が出なければ人を替え、誰かが抜ければ穴を埋める。案件の数だけ、こうした小さな人の動きが毎週のように起きます。
そこで僕らは、人の動きが起きるきっかけを3つに分けて考えています。きっかけごとに、現場が最初に確かめることと、人事に頼む内容が違うからです。
| きっかけ | 現場が最初に確かめること | 人事への依頼 |
|---|---|---|
| 新規受注 | 稼働の開始日、必要な時間帯と週の稼働量、商材の難しさ | 開始日に間に合う人数の確保 |
| 成果不振 | 原因が人なのか、リストやトークなのか | 人が原因なら入れ替え要員、量が足りないなら追加要員 |
| 稼働者の急な離脱 | 残っている稼働で何日もつか、お客様への連絡が必要か | 最短で入れる人の確保と、その間の穴埋め |
この表の左側が起きたときに、真ん中を現場が判断し、右側を人事に渡す。ここから先の4ステップは、この受け渡しをどれだけ速く、迷わずに回せるかの話です。
■ ステップ1:案件の発生を、現場の担当者がすぐにつかむ
最初の仕事は、人の動きが必要になったことに、現場の担当者がいち早く気づくことです。一人で数件を見ているうちは頭の中で管理できても、担当する案件が10件、20件と増えると、どの案件で誰が何時間動いていて、成果がどう変わってきたのかを記憶で追うのは無理があります。
だから案件はCRMにまとめ、一覧で見える状態にしています。案件ごとに、稼働している人、週の稼働時間、架電数とアポ数の推移、契約の更新日、直近で起きた変化を並べておく。そうすると「先週からアポ数が半分になっている」「この人の稼働が来月から減る」といった変化が、担当者の勘ではなく画面上の差として見えてきます。
あわせて、案件の受注から稼働開始、稼働中の確認、更新や終了までを、決まった手順として回せるようにしておくことも欠かせません。いわゆるBPM(業務プロセス管理)の考え方です。手順が決まっていれば、担当者が替わっても同じタイミングで同じ確認ができ、見落としが減ります。
継続・増員・解約を、現場で判断する
変化に気づいたら、次はその案件で稼働している人をどうするかを決めます。選択肢は大きく3つです。
- 継続する:成果が出ている、または原因がリストやトークの側にあり、人を替えても変わらない
- 発注を増やす:一人あたりの成果は出ていて、量を増やせばアポも増える見込みがある
- 品質未達として解約する:同じリストやトークでほかの人は成果が出ているのに、その人だけ届かない状態が続いている
この判断を、毎回上に持ち上げていたら間に合いません。案件の数字と稼働者の様子を一番近くで見ている現場の担当者が、その場で適切に決められること。これが多数の案件を回すための前提になります。特に解約は言い出しにくい判断ですが、先送りするほどお客様の成果が削られていくので、数字を根拠に早めに決めるようにしています。
■ ステップ2:現場から人事へ、チケットで依頼を出す
人が必要だと判断したら、現場の担当者は人事にチケットを発行します。チケットといっても大げさなものではなく、「どの案件で、いつまでに、どんな人が、何人必要か」を決まった形式で人事に渡すタスクの依頼です。
チケットには、少なくとも次の項目を書いてもらっています。
- 案件名と商材の概要、架電先の業種
- 必要な人数と、稼働してほしい曜日・時間帯、週の稼働時間
- 稼働を始めてほしい期日
- あると望ましい経験(業界知識、法人向けの架電経験など)
- 提示できる報酬の範囲
- 依頼の理由(新規受注、入れ替え、離脱の補充のどれか)
項目がそろっていないと、人事は候補者に条件を説明できず、確認の往復で数日が過ぎます。逆に、ここまで書いてあれば人事はすぐに募集や声かけを始められます。
現場が人事を動かし続けるのが、基本の仕事
このステップで大事にしているのは、人の手配を「人事の仕事」として現場が待つのではなく、現場が積極的に人事を動かし続けることを、担当者の当たり前の仕事にすることです。チケットを出したら終わりではなく、候補者が出てきたら案件側の目線で返事をし、期日が近づいているのに決まらなければ条件を見直す相談をする。
これが回るかどうかは、個人のがんばりより、現場と人事が日常的にやりとりできる関係があるかどうかで決まります。週に一度は依頼中のチケットを一緒に見直す、急ぎの依頼はチャットで一言添える、といった小さな習慣を、組織として決めておくようにしています。
■ ステップ3:人事が期日までに、任せられる人を入れる
チケットを受けた人事の役割は、決められた期日までに、案件に合う人を、合う条件で連れてくることです。条件には、報酬の額だけでなく、業務委託か別の契約形態か、週に何時間動いてもらうかといった工数も含まれます。候補者にとって無理のない条件でまとめないと、入ってすぐ離脱してしまい、またステップ1に戻ることになります。
人事に求めているのは、「探しましたが見つかりませんでした」で終わらせず、期日に対して責任を持つことです。候補者がいない場合は、条件をどう変えれば集まるのかを現場に返す。期日に間に合わない見込みなら、早めにそう伝えて、その間の稼働をどう埋めるかを一緒に決める。ここまでを人事の仕事として扱っています。
「人事は必ず動く」と現場が信じられる状態をつくる
現場がチケットを出しても、人事が動いてくれるかどうか分からない状態だと、担当者は自分で知り合いに声をかけたり、成果の出ていない人を替えずに抱えたりし始めます。そうなると、判断の基準がばらばらになり、案件の数が増えるほど混乱します。
反対に、チケットを出せば期日までに人が来るという慣習ができていれば、現場は迷わず継続・増員・解約を判断できます。ステップ1の判断の速さは、実はステップ3の信頼に支えられています。
打率を上げるために、僕らは過去に稼働してくれた人の情報を残し、次の案件で声をかけられるようにしています。長く成果を出してくれる人が少しずつ溜まっていく仕組みについては、時間が経つほど、長く成果を出す人材が溜まっていく理由で、採用の考え方は『ALLIANCE』を教科書にしたアポインター採用で詳しく書いています。
■ ステップ4:現場は少ない工数でOJTし、仕事を任せる
人が入ったら、現場の担当者がその人に案件を任せます。多数の案件を見ている担当者にとって、一人の立ち上がりに何日も付きっきりになる余裕はありません。できるだけ少ない工数で、早く一人で動ける状態にもっていく必要があります。
OJTで最初に渡すのは、商材の説明、架電先のリスト、トークスクリプト、記録の付け方、困ったときの連絡先です。これを毎回ゼロから説明するのではなく、案件ごとの資料としてまとめておき、新しく入った人がそれを読んでから最初の架電に入れるようにしています。
最初から窓口を渡すか、シャドウから始めるか
迷うのは、お客様とのやりとりの窓口をいつ渡すかです。進め方は大きく2つあります。
- 最初から窓口を引き渡す:同じ業界での架電経験があり、報告や連絡の文面にも安心感がある人
- シャドウや同時稼働から始める:経験はあるが商材が難しい、またはお客様側の確認事項が多い案件。数日一緒に動き、報告の質やお客様への受け答えを見てから窓口を渡す
どちらにするかの基準を案件ごとに決めておくと、担当者によって任せ方がばらつきません。ただ、理想は、シャドウの期間を長く取らなくても問題が起きない人を、ステップ3の段階で選んでおくことです。OJTを手厚くして立ち上げるより、採用の時点で任せられる人を見極めるほうが、現場の工数はずっと少なく済みます。窓口をアポインターが担う理由については、SV付きでも窓口はアポインターにしている仕組みにまとめています。
■ 流れが止まりやすい4つの場所
4つのステップは、どこか一つが詰まると全体が止まります。僕らの現場で実際に止まりやすかったのは、次のような場面でした。
- 変化に気づくのが遅れる:CRMの数字が週に一度しか更新されず、アポ数が落ちてから2週間たって気づく。更新のタイミングを手順に組み込むことで防いでいます。
- 現場が判断を抱え込む:解約を言い出せず、成果の出ていない人を替えないまま月末を迎える。判断の基準を数字で決めておくと、言い出しやすくなります。
- チケットの中身が足りない:「1名ほしいです」だけの依頼で、人事が条件を聞き直すことになる。必須項目を埋めないと出せない形式にしています。
- 立ち上がりに時間がかかる:案件の資料がなく、担当者が毎回口頭で説明している。入れ替えが起きるたびに資料を見直し、次の人のために更新しています。
どれも一つひとつは小さなことですが、案件が多いほど同じ詰まりが何件も重なり、お客様の成果に響きます。止まった場所が分かれば、直す場所も分かります。
■ まとめ
業務委託のアポインターで多数の案件を回す現場は、案件の発生をつかむ、人事へチケットを出す、期日までに人を入れる、少ない工数で任せる、という4つのステップをくり返しています。
それぞれの担い手に求められるのは、現場なら案件を見える状態にして継続・増員・解約をその場で決める力と、人事を動かし続ける習慣。人事なら期日と条件に責任を持って任せられる人を連れてくる力です。そして、その二つがかみ合うように、現場と人事が日常的にやりとりできる組織の形をつくっておくこと。人の入れ替わりが前提の働き方だからこそ、入れ替わっても案件が止まらない流れを、これからも磨いていきます。