採用と代謝をセットで考えると、「辞めない人」ではなく「強い人」を採用できるようになる。
皆さんこんにちわ!広告代理店と営業会社をやっています、メルマガ運用担当です!!!
全然関係ないところから始まるのですが、自分には数年来ずっと「ああー、広告代理店が成長しねえなー」という悩みがあります。
会社を成長させる方法が分かりそうになるたびに色々と投資して、そして失敗する。とはいえ、自分は撤退だけはかなり早いので、致命傷になるほど大きなリスクを取ることもなく、結果として4年以上会社を経営して数千万円のお金が貯まっただけ、という状態になっています。
自分としてはずっと「どうにかしてここから成長の構造を作れないかな」と悶々としていて、勿論ただ単に社員をバンバン採用して営業をドカーンと置いてマーケをドカーンと置けば売上は付いてくると思うのですが、経営というのは利益をめぐる戦いなので、規模増やしながら利益を残さねばならず、自分が許容できるリスクの構造でどうしてもリスクを取る術が不明であるというのが今までの状態でした。
そんなことを何年も考えて、色々試してきたのですが、ようやく最近、今の自分の経営者としてのレベルでは、物凄く大きな気づきを得られた気がしています。
もっと正確に言うと「採用のコツを少し掴んだのではないか」という感覚があります。
そして去年よりも少しだけ賢い今の自分は、これからは正社員だけではなく、業務委託、パートナー会社、外部の専門家など、多様な人たちとうまく連携することで、広告代理店という事業をそこまで大きな固定費リスクを取らずに、成長の構造に乗せられるのではないかと思っていて、
今日はその話を書きたいと思います。
自分は採用について無知だった
どういうことかというと、自分の中でかなり大きな考え方の変化として、「今まで自分は採用について結構大きな勘違いをしていたんじゃないか」ということです。
また少し話がズレるのですが、少し前に、M&A界隈ではかなり有名な方と話す機会がありました。そのときに「広告代理店をやっています」と話したら、「難しいことやってるねー。属人的になるし、人は独立するしー」と言われたことがあります。
そのときは「まあ、確かにな」と思っていました。広告代理店という仕事は、優秀な人ほど顧客を持てるようになり、営業もできるようになり、広告運用のスキルも身につき、仕事も自分で取れるようになっていきます。会社側からすると、どうしても「育てた人が辞める」という問題が常について回ります。
だから自分も無意識のうちに、「能力が高いか」ということ以上に、「この人は辞めなさそうか」「長く会社に残ってくれそうか」ということを採用基準に入れていました。
でも今考えると、そこを考慮して「転職しなさそうな人」という一点に絞りすぎて採用しようとしていたこと自体が、極めて大きな間違いだったと思っています。
別に今考えれば、営業だけ強くても、広告だけ強くても、それだけで一人ですべての仕事を完結できるわけではありません。それなのに「将来独立したい」「出世したい」という熱量のある人を、辞める可能性が高そうだからという理由で採用したり協業することから省いていた。これは完全に間違っていたと思います。
そして、このことに気づかせてくれたというか、自分の考え方を大きく変えてくれたのが、「採用と代謝をセットで考えて、組織の新陳代謝を意図的にマネジメントする」という概念でした。
これは最近読んだ『人事と採用のセオリー』という本から学んだことなのですが、今の自分の経営者としてのレベルで見た時に、今年最大級のコツを掴んだような感覚があったんですよね。
採用と代謝をセットで考えれば、採用できる人材のレベルが一気に上がる
『人事と採用のセオリー』から学んだのは、採用と代謝、つまり入社と退社を最初からセットで考えると、採用できる人材の幅がものすごく広がるということでした。
というか、逆にそういう考え方をしないと、本当に強い人を採用できないんじゃないかと思っています。
例えば、「3年後には自分で会社をやりたいです」「将来経営者になりたいです」「30代で事業責任者になりたいです」「もっと稼げる人材になりたいです」と言っている人がいたとします。
以前の自分だったら、能力が高かったとしても、「この人、せっかく教えても辞めるのであればスルーかな」みたいな判断をしていました。でも、これがマジで大きな過ちでした。
別に数年後に辞めるかもしれないし、辞めないかもしれない。独立するかもしれないし、社内で出世してくれるかもしれない。そんなことは採用時点では誰にも分かりません。
ただ、これまで自分が付き合ってきた色々な人を振り返ってみると、結局のところパフォーマンスが高い人、というかゴリゴリ何かの構造を作ってくれる人って、大体が出世欲だったり独立欲だったり、「もっとこうなりたい」という強い欲望を持っている人だったんですよね。
それは図らずも、皮肉なものなのですが、「単にこの人は長期的に一個の会社で働きたいというテンションの人かな?」みたいな自分の勘違いで(今振り返ると本当に自分の採用の能力は低かったなと感じます)入社させた人たちが、蓋を開けてみると出世欲や経営欲が抜群にあった人たちであったという感じでした。
もちろん、一つの会社の中で長く働いていきたいという人にも大きな価値があります。一つの役割を長く担い、安定して組織を支えてくれる人は絶対に必要です。
ただ、会社そのものをより良い方向へ大きくアップデートしたり、新しい事業を作ったり、既存のやり方を破壊して新しい仕組みを作ったりする人材は、やはり「もっと上に行きたい」「もっと稼ぎたい」「もっと大きな仕事をしたい」「出世したい」「独立にも興味ある」という欲望を持っていることが多いと思います。
しかも、仮にその人材が1年で辞めたとしても、そういう強い人が1年間でも社内でシャカリキに頑張ってくれると、その後会社に残るものは絶大なレガシーになる可能性があります。というかなりました。
そして、もう一つ超重要なのは、そういう強い人に対して、「この会社と付き合うメリット」をちゃんと提供できる会社を「採用と代謝」の概念を頭に入れれば、作り上げられるかもしれないと自信になったことがデカかった。敵は常に自分。これは正社員だろうが、業務委託だろうが、パートナーだろうが関係ありません。
そもそも、本当に強い人であればあるほど、会社に永久就職しようとは思っていない可能性も高いですし、もっと大きな仕事をしたい、もっと稼ぎたい、経営をしたい、独立したい。ですのでそもそも「辞めなさそうな人」を採用してたら、強人は絶対に取れないし、外部のパートナーと良い関係も絶対に作れない。
あとちなみに「独立したい」「出世したい」と言っていても、当然世の中そんなに甘くないので、色々なプレッシャーや壁の中で、結果として会社に長く残ってくれる人も多いと思います。
なのでこれからは前提として、欲望の強い人、上に行きたい人を採用していこうと思っています。これは業務委託、正社員関係なくです。というかこの考え方ができるので、正社員以外の様々な人たちと連携できる自信があります。
強い人は、会社の構造が良ければ1年いるだけでも色々なものを残してくれる
前の文章でも書きましたが、強い人は、会社の構造さえちゃんとしていれば、極端な話、1年間フルコミットしてくれるだけでも色々なものを会社に残してくれます。
その人が会社を辞めても、こうしたものまで一緒になくなるわけではありません。
例えば、前に一度、自分の会社を社員に社長ごと任せたことがあります。それ自体は私の力不足で途中で頓挫してしまい、最終的に彼は辞めてしまったのですが、彼が一時的にでも会社の舵取りをやってくれたことで、自分には別のことをやる時間が生まれました。
その結果、自分は営業会社という新しい事業を立ち上げることができました。今ではその営業会社に入社してくれた社員が、立派に業務委託数十名と案件数十社をマネジメントしてくれています。
当時だけを切り取れば、「会社を任せたけど結果的に辞めた」という出来事です。でも、もっと長い時間軸で見ると、その人が会社を任せてくれた時間があったから別の事業が生まれ、その事業が今では一つの組織になっている。
これは、ゴリゴリ上昇欲がある人と働かないと絶対に発生しない幸運でした。
手前味噌ですが、自分自身もフリーランス時代に、他の広告代理店でかなりフルコミットして仕事をしていた時期がありました。そのときにコンペで勝ち取ったクライアントがいるのですが、自分がその会社を離れた後も、自分の記憶の限りでは何年にもわたって、そのクライアントは前職の大口顧客のまま残っていたりしました。
自分自身はいなくなっても、自分がその期間に作ったものの一部は会社に残る。
そう考えて、人材に対する考え方を変えることができたのが、最近自分の中ではかなり大きな収穫です。
これからは「この人がどのくらいの期間いてくれるのか」だけではなく、「その人がいる期間に、どれだけ会社に資産を残せるのか」まで含めて考えるべきなのではないかと思っています。
誰も辞めない会社が、本当に強い会社なのか
もう一つ考え方が変わったのが、離職率についてです。
以前は、離職率が低ければ低いほど良い会社だと思っていました。ただ、もし本当に誰も辞めなかったら、組織はいつか詰まります。
これも『人事と採用のセオリー』に書かれていたことで、経営4年目後半にして、ようやく自分が気づきを得ることができた部分です。本の中では「退職をマネジメントする」という考え方が紹介されていました。
例えば、部長がずっと辞めなければ、その下の人は部長になれません。マネージャーがずっと同じポジションにいれば、その下の若手にはマネージャーになる機会がありません。会社が無限に成長し、ポジションも無限に増え続けるのであれば別ですが、現実にはポジションには限りがあります。
だからこそ、新しい人が入り、既存社員が成長し、その中から責任者が生まれ、一定数の人は独立したり次の会社へ移ったりして、その空いたポジションにまた次の人が上がっていく。
この話で面白かったのが、リクルートの事例です。
本書では、リクルートは採用と代謝をセットで考える人事マネジメントに非常に成功している会社の一つとして紹介されています。リクルートというと採用力の強さに目が行きがちですが、実は「人を採ること」だけではなく、「人が自然に会社から出ていくこと」まで含めて仕組みを作ってきた会社なんですよね。
本書によれば、リクルートは創業から長い年月が経っていても平均年齢はいまだに30代で、リクルート本体ではいわゆるリストラによって無理やり人を減らすのではなく、自然な退職によって人口ピラミッドを維持してきたとされています。
さらに、38歳から定年を選択できる「フレックス定年」や、社員ではなく独立して業務委託として同じ仕事を続けられる仕組みなど、昔から社員の独立や退職を前向きに捉える制度を作ってきた。
だからこそ、リクルートからは起業家や経営者が大量に生まれ、「人材輩出企業」と呼ばれるようになったわけです。
優秀な人が辞めることだけを考えれば、当然会社にとって短期的な損失です。ただ、その人が抜ければポジションが一つ空きます。その下にいる次世代の社員にとっては、今までなかったチャンスが生まれます。
そして、その空いた場所にまた新しい人が入ってくる。
「採用して、永遠に囲い込む」のではなく、「採用して、育てて、活躍してもらい、いつか送り出す。そしてまた次の人が入ってくる」。
こういう人材フローまで設計するのが、本当の意味での採用や人事なのだと思います。
強い人と上手くやるには、インセンティブ設計が何より重要
またしつこい感じで重複して書いてしまうのですが、ここも自分の中ではかなり重要なポイントです。
別のVC系の本を読んだときにも似たような話が書かれていて印象に残っていたのですが、強い人を巻き込むうえでは、インセンティブの設計がものすごく重要だと思っています。
採用と代謝をマネジメントするという発想を持てたことで、正社員だろうが業務委託だろうが、「強い人にどういうインセンティブを提供すれば一緒にやれるのか」ということに意識がものすごく向くようになりました。
この事業が伸びれば自分にもリターンがある。この顧客を増やせば自分の報酬も上がる。成果を出せば裁量が増える。事業を作れば責任者になれる。独立したとしても、将来的にはパートナーとして一緒に仕事ができる。
会社と個人の利害を、できる限り一致させる。これが大事だと思います。
優秀な人に「会社への忠誠心」を一方的に求めるのではなく、お互いにメリットのある構造を作る。そのほうが現実的です。
強い人が会社にいることで会社が成長する。そして会社が成長することで、その人にも大きなリターンが生まれる。社員という形が最適なら社員でいいし、業務委託のほうがお互いにメリットがあるなら業務委託でもいい。独立した後に取引先やパートナーになるのであれば、それでもいい。
重要なのは、雇用契約そのものではなく、「強い人を巻き込める構造を会社側が持っているか」なのだと思います。
逆に言えば、これから自分が作っていかなければいけないのも、そこです。
「辞めない人をどう探すか」ではなく、「独立するかもしれないくらい強い人が、それでも一緒に仕事をしたいと思える会社をどう作るか」。
そして、強い人が1年、2年、3年と本気で働いたときに、その人が作った売上、顧客、ノウハウ、仕組み、文化、育ったメンバーといったものが会社の資産として残る構造をどう作るか。
最近は、これこそが経営側の仕事なのではないかと思うようになりました。
「辞めない人」ではなく「強い人」を採用していく
ということで、2026年の秋からは、採用については明らかに変えていこうと思っています。
これまでは「良い人」「長く働いてくれそうな人」「辞めなさそうな人」という軸をかなり重視していました。
自分の性格的にも、基本前提人間不信なので、忠誠心のありそうな人を贔屓目に見てしまうところがあったのですが、そもそも人間不信なので、退社前提で全体をマネジメントするという部分に関しても、自分の性格にピタッとあっていて、結局は強い人を巻き込めるようになりたいだけなのですが、強い人をどう巻き込むかという点において、この本が私の性格にもガッシリ合ったという感じです。
まとめ
採用と代謝をセットで考える。
これを理解できただけでも、自分の中では採用に対する恐怖がかなり減りました。最初から辞めるところまで含めて会社の構造として設計してしまえば、むしろ独立するくらい強い人を積極的に採用できる。
そしてこの考え方こそ、自分がずっと悩んでいた「ああー、広告代理店が成長しねえなー」という問題についても、一つ突破口が見えてくる気がしています。
自分一人の能力を伸ばして会社を成長させるのではなく、強い人を巻き込み、強い人が成果を出せる環境を作り、その人が生み出したものを会社に残し、また次の強い人が入ってくる。
そういう循環を作れれば、ようやく会社を「自分の労働量に依存しない成長の構造」に乗せられるのかもしれません。
こういうコツを一つずつ掴めている今年は、少なくとも去年の自分よりは遥かに成長できている気がしていて、良い年だなと思っています。
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