テレアポ事業をやっていると、たまに
「テレアポ代行って、結局電話するだけじゃないの?」
と思われることがあります。
実際、表面的に見ればそうです。
では、なぜ企業はわざわざ外部の会社にお金を払って
テレアポを発注するのでしょうか。
■ 「結局、電話するだけ」なのか
リストがあって、電話をかけて、担当者につないでもらい、アポイントを取る。やっていることだけを切り取れば、テレアポは非常にシンプルな仕事です。特殊な国家資格が必要なわけでもなければ、高価な設備がなければ始められない仕事でもありません。だからこそ「電話するだけの仕事に、なぜ外注費を払うのか」という疑問は、極めて自然な疑問だと思います。
ただ、最近この事業を運営していて改めて思ったのですが、テレアポ代行会社の本当の商品は「電話」ではないんだと思います。企業が買っているのは、「営業活動を継続的に動かすための仕組み」なんですよね。
電話は、その仕組みから出力される結果の一部でしかありません。ここを取り違えたまま「1コールいくら」「1アポいくら」だけで比較すると、外注の意思決定そのものを見誤ります。
■ クライアントは、アポが欲しいだけ
テレアポを発注する企業の立場になって考えると、かなり分かりやすいです。クライアントはテレアポ組織を作りたいわけではありません。欲しいのはアポイントです。商談の機会が、毎月、読める本数で積み上がっていくこと。それだけが目的です。
ところが、自社でテレアポを始めようとすると、アポを取る以外の仕事が大量に発生します。人を募集して、面接して、採用して、研修して、案件を説明して、シフトを集めて、誰が今日稼働するのか確認して、リストを渡して、稼働実績を確認して、アポが取れたら報告して、欠勤が出たら代わりの人を探して、月末になったら稼働数を集計して、報酬を計算して、請求や支払いを処理する。
しかも、人間なので当然予定通りにはいきません。
「今日、体調が悪いので稼働できません」
「来週はちょっと予定が分かりません」
「今日って何をやればいいですか?」
こういう連絡も発生します。1人や2人なら、気合いでなんとかなります。ですが10人、20人、30人と稼働者が増えていけば、それを管理する人も必要になります。管理する人が増えれば、今度は管理する人を管理する仕事が生まれます。
つまり、アポイントが欲しかっただけなのに、いつの間にか一つの組織を運営する仕事が発生してしまうわけです。多くの会社にとって、そんなことをやっている暇はありません。本業があります。だから我々のような会社に発注が来ます。
■ 「電話をかける人」を提供しているわけではない
ここが、この事業の面白いところです。単純に考えると、テレアポ会社の競争力は「アポ率」だと思います。もちろん、それも重要です。アポ率が低ければ話になりませんし、そこを磨かないという選択肢はありません。
ただ、実際に運営してみると、それだけではありません。本当に効いてくるのは、
・適切な単価で、
・適切な人間を
・適切に稼働させ続ける
という、「人を安定して動かす仕組み」を作ることです。当然、高い金を払えば優秀な人材はすぐ手に入りますが、単にアポを取るだけ、もしくは電話するだけの行為にそんな高い単価は払えないですよね。
ここが肝です。単価を上げれば品質は安定する。でも単価を上げすぎればサービスとして成立しない。この2つの間にある、狭くて動き続けるバランスを毎日探しにいく作業が、この事業の実態です。
■ 稼働者をランク分けして、安定を可視化する
例えば、僕らはいま稼働者をA〜Dのようにランク分けして、安定して稼働できる人を可視化し、そして維持する取り組みに熱心になっています。感覚で「あの人は良い人」と評価するのではなく、稼働の継続性・実績・連絡の安定性といった観点で、誰がどのランクにいるのかを常に把握できる状態にしておく。
数十人いる稼働者をどのように科学し仕組み化させるのか。単にシフト提出にしても、月一が良いのか? 週1が良いのか? 色々検証しながら研究しています。月一提出は管理が楽ですが、直前の欠勤が読めません。週1提出は精度が上がりますが、提出そのものの手間が増えて離脱要因になり得ます。どちらが正解かは、案件の性質と稼働者の属性によって変わります。だから検証するしかありません。
誰を採用すると安定するのか? 男性? 女性? 主婦? 副業さん? フリーランサー? 稼働の工数はどのくらい取ると良い? どの単価で出せば一番安定する? 当然、会社の利益も出ないとそもそもビジネスを継続できません。
納得感のある単価で顧客にサービス提供できる金額で、安定する人を増やし維持する(商品が常に在庫切れしない)ことも価値の一つだと思っています。
人間を感覚で管理するのではなく、データを見ながら適切な仕事の渡し方を考えていく。こういうことを一つずつ仕組みにしていきます。派手さはありませんが、この積み重ねが、翌月に何本のアポを出せるかという「読める数字」に直結します。
■ 面倒くさいからこそ、発注される
テレアポ自体は、自社でもできます。求人を出せばアポインターを採用できますし、営業リストを作って電話してもらえばいい。別に特殊な国家資格が必要な仕事ではありません。
それでも外注されます。なぜなら、めちゃくちゃ面倒くさいからです。
採用して終わりではありません。人が辞めればまた採用する。というか電話する人を正社員で雇えないし、正社員に電話の工数とか当てたくないし、AIでコールしてもアポ率が低いとか、レピュテーションのリスクがあるとか、そのAIを操るスキルというか構造を作らないといけないとか、、、
AIコールも当然、検討はします。ただ、アポ率が低ければ結局は人が電話することになりますし、名乗り方ひとつでレピュテーションのリスクも背負います。つまりAIを入れたところで「運用する仕事」が消えるわけではなく、むしろそれを扱えるスキルと構造を用意する仕事が新しく増えるだけ、という場面が現実には多いです。この論点はAIでB2Bテレアポは代替できるのかでも整理しています。
成果が悪ければトークを変えるとか、人様に対してなるべく迷惑にならないコールを続けないといけないとか、あと迷惑になったとしても営業の予算をどうしてもテレアポにはつけないといけないとか、、、
稼働が不安定なら配置を変えるとか、、、etc
これを毎日回し続けなければいけません。案件が増えれば人を増やし、欠勤が出れば調整し、請求も管理する。一つひとつは大した作業ではないのに、止めた瞬間に稼働が落ちる種類の仕事ばかりです。
クライアントからすれば、
「アポが欲しいだけなのに、なんで俺たちがそこまで管理しないといけないんだ」
という話になります。
しかもテレアポする人ってかなり数が必要だし、安定感もかなり低いんですよね。納得感のあるディールだったとしても、欠員は結構バンバン出る。1人抜けたら1人補充すればいい、という単純な引き算にはなりません。抜けた分の稼働を埋めるには、募集し、選び、教え、案件に馴染ませるまでのリードタイムが必ず発生します。
この面倒な部分をサービスとして、丸ごと引き受けることには価値があるとは思っています。
■ 「面倒くさい」を引き受ける会社には価値がある
僕は、社会に存在することを許される事業というのは、結局「誰かが困っていることを代わりに解決している事業」だと思っています。
そして世の中には、「できないから困っている仕事」だけではなく、「できるけど、やりたくない仕事」「できるけど、そこにリソースを使いたくない仕事」が大量にあります。
テレアポもまさにそうです。クライアントでも電話はできます。採用もできます。管理表も作れます。シフト管理もできます。能力の問題ではありません。でも、本業をやりながら、それを毎日改善し続けることは難しい。
僕らはそれを毎日やっています。
毎日やっているから、採用基準が改善される。
毎日やっているから、稼働者の管理方法が改善される。
毎日やっているから、案件と人材の相性が分かってくる。
毎日やっているから、トラブルのパターンも蓄積される。
そして、それを仕組みとして蓄積していけば、自社でゼロからテレアポ組織を作るよりも、僕らに任せた方が合理的という状態を作ることができます。
ここまでいけば、単なる人貸しではありません。「営業組織を自社で抱えなくても、必要な営業活動を動かせるインフラ」に近づいていきます。人を借りているのではなく、稼働という機能を必要な分だけ使っている状態です。
■ 他社がやりたがらないところまでやる
そして、ここからが勝負だと思っています。テレアポ会社自体は世の中にたくさんあります。電話をかける会社もたくさんあります。だから、「電話できます」だけでは長期的な競争力にはなりません。
僕らが作らないといけないのは、その裏側です。
いくらの単価であれば顧客はお金を払えるのか。
いくらの単価であれば稼働者は満足して稼働してくれるのか。どのように管理すると、案件や人が増えても質が落ちないのか。
たくさんの稼働者をどう統括していくのか(ビジネスとして成長しないと、いつかサービスとして提供できなくなる)。
正社員で人を増やせないので、どうやってパートナーさんに頑張ってもらえるのか。そこまで高くない単価でも安定して稼働してくれる人を、どうやって見極めるのか。
つまり、誰がどれくらい安定して稼働しているのか、誰にどの案件を任せるべきなのか、どの案件がどれくらい利益を生んでいるのか、欠勤率はどうなのか、採用した人がどれくらい定着しているのか。この手の数字を、感覚ではなく記録として持っておくということです。
こういったものを全部データとして蓄積し、科学的に管理していく。これは地味です。ものすごく地味です。しかも、かなり面倒くさい。数字を取るだけでも手間がかかりますし、取った数字を意思決定に反映させるにはさらに手間がかかります。
だからこそ価値があります。誰でも出来ることを、誰よりも上手にやる!!
熱心に研究を続けていきたいと思っています。
■ 正社員1割、業務委託9割という体制の理由
利益を出さねば続けられないという部分にも着目し、今の弊社のパーティの割合は「正社員1割、業務委託9割」です。
これであればリスクを最小限にして、採用と現場の人事を研究すればするほどこの事業は育ち、生き残り続けられると思っています。案件が増えたときに稼働を増やせて、案件が減ったときに固定費が会社を潰さない。この可変性がなければ、そもそも研究を続けるための時間を買えません。
正社員を採用したほうが安定するしパフォーマンスも上がると思うけど、でも事業の拡大はかなりリスクが増えて出来ないから。だから業務委託の人材をワークさせる研究を熱心にやる。これを色濃く色濃くやっていくのが、今年の後半戦の年末までの当社のコミットメントです。
言い換えれば、正社員体制なら「人の質」で解決できてしまう問題を、僕らは「仕組みの質」で解決しなければいけないということです。制約があるからこそ、ランク分けもシフト設計も単価設計も、真剣に検証する意味が出てきます。この制約こそが、結果的にサービスの再現性を作っていると考えています。
■ よくあるご質問
Q1. 自社でアポインターを雇うのと、外注するのでは何が違いますか?
一番の違いは、アポ以外に発生する業務を自社で持つかどうかです。採用・研修・シフト調整・欠勤対応・稼働集計・報酬計算といった運用業務は、内製すると必ず自社の誰かの時間を使います。外注は、その運用ごと引き受けてもらうための費用だとお考えいただくのが実態に近いです。
Q2. テレアポ代行の費用は「1コールいくら」で比較すればいいですか?
単価は比較材料の一つですが、それだけでは判断しきれません。同じ単価でも、稼働が安定して毎月同じ本数を回せる体制と、欠員が出るたびに稼働が落ちる体制とでは、1年後に積み上がる商談数がまったく変わります。単価と合わせて「稼働をどう安定させているのか」を確認されることをおすすめします。
Q3. 稼働者のランク分けは、クライアントにも共有されますか?
ランク分けは弊社の内部運用の指標ですが、どういう基準でアサインを決めているか、現在の稼働がどの程度安定しているかは、ご要望に応じてご説明しています。ブラックボックスにしたまま「うちは大丈夫です」と言い切るつもりはありません。
Q4. 業務委託中心の体制で、品質は担保できるのですか?
雇用形態そのものより、選抜・教育・稼働管理の設計で決まると考えています。むしろ業務委託中心だからこそ、誰にどの案件を任せるか、どの条件なら安定稼働するかを数字で管理せざるを得ません。その運用の積み重ねが品質になっています。
■ この事業が存在することを許される理由
テレアポ代行という事業は、誰にでも始められる事業です。参入障壁は高くありません。だからこそ、「電話をかけられること」自体には、ほとんど値段がつきません。
値段がつくのは、その先です。人が抜けても止まらないこと。翌月も同じ本数を回せること。誰に何を任せるかを、勘ではなく数字で決められること。そして、それらを毎日改善し続けていること。この積み重ねだけが、クライアントの「面倒くさい」を本当に引き受けられる状態を作ります。
僕らが売っているのは電話ではなく、
「営業活動を継続的に動かすための仕組み」です。
誰でも出来ることを、誰よりも上手にやる。それが、この事業がこの社会で存在することを許される理由だと思っています。
業務委託の人材にワークしてもらうための研究を、色濃く色濃く。
それが今年の後半戦、年末までの当社のコミットメントです。